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「秋の陽の心模様」―詩―

秋の陽は やさしく 物悲しい
揺れるススキの穂に
留まり 秋風に 茜色の
スカーフを 振る

秋の陽は 穏やかさを 地上に振り撒く
「夏の日の煌めき」と尊ばれた恋は
その魔力を 静かに洗い流がされる
浮ついた恋心は ひっそりと
つゆに濡れた 花びらのような恋しさに変わり
恋人たちは 落ち葉の道を
言葉少なに 散策する

秋の陽は 木漏れ日となって
窓に 降りそそぐ
カーテン越しの やわらかな
光の影絵は 眠っている赤子の
頬で 揺れている

秋の陽は 夕闇に
時の流れを 呆気なく 譲ってしまう
子どもたちの 野菊摘みや
影踏みも 夕焼けと共に
遠ざかっていく

ヴァイオリンの 泣くような調べは
まるで 秋の陽が やさしく囁いているよう
ソーダ水の 泡のように
悲しみが 湧き上がり 消えていく 

(2012年のリライト作品です)

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