脳とこころの関係から見る心理職の専門性とは何か?

はじめまして、医療領域で心理職をしているSupiと申します。

はじめてのnote投稿です。

本記事は一般の方々及び心理学科や心理職志望の方々へのある種の啓発活動(を勝手に志)しています。

今後は心理職や一般の方向けに広く心理職の活動について広報したり、心理学や日常で気付いたことを投稿していく予定です。

この記事を見て下さった方は宜しければ今後とも仲良くして頂けましたら幸いです。

本記事は脳とこころの関係から心理職の専門性を考察していきます。

具体的には、リハビリテーション領域(認知症や高次機能障害などを中心に想定)におけるリハビリテーション専門職(特にSTやOT)と心理職の差別化について考察していきます。

※予備知識がない一般の方々は、
・神経心理学=脳とこころの働きや脳損傷や
 脳機能障害に起因する障害を扱う心理学の
 領域
・神経心理学検査=上記のような脳機能障害(例えば認知症や高次次機能障害など)の
 種々の認知機能等を評価する検査
 といった形でご理解頂けると理解しやすい
 と思います。

ちなみに、あらかじめ断っておきますが、精神科における神経心理学領域の評価の経験はあれども、リハビリテーション領域の介入は未経験という立場ですので、あくまで机上論や一般論も含まれますのでご承知の上で本記事の閲覧をお願い致します。

心理職の仕事といえば、心理面の評価(アセスメント)と介入(カウンセリングや種々の指導・教育、コンサルテーションなど)+αとしてこころの健康に関する啓発活動や地域援助であると概ねいえると思います。

なお、上記の内、教育や指導は療育や就労支援、リハビリテーションなどの教育的・指導的側面が強いものを含めて、教育・指導と定義し表現しています。

さて、一般的にメジャーな精神科などでアセスメント(評価)や心理検査を行っている場合には、本職の心理職にとってあまり深く考えずとも心理職にしかできない事も多いため、他職種との差別化などは自然と図られている場合も少なくないと思います。

一般の方々も心理職といえば、精神科というイメージもあるでしょうし、カウンセリング以外であれば、心理テストや発達・知能検査を扱うことが多いというのは心理職と間接.直接関わった経験がお有りの方であれば容易にイメージできるのではないかと想像できます。

一方で、リハビリで心理職というと、一般の方は「??」となる方も多いのではないでしょうか?

そもそも脳神経科学や生理学などの精神医学以外の臨床医学やリハビリテーション分野と関連する領域と心理職につながりがあるイメージを持っておられる方はほとんどいらっしゃらないでしょうし、心理学科卒の方もそういう領域があることは知っていたとしても、その領域で心理職がどのように働いているのか、あるいはどのように検査を行い評価を行っているのかなどを知らない方の方が大多数であると思います。

(リハビリテーション分野の職場自体は私も未経験ですので、私の神経心理領域の評価の経験から、リハビリテーション分野でどのような役割が果たせそうかを考察するのが目的であるという前提で考察していきます)

正直なところ、神経心理検査を実施するだけであれば、さして難しくなく、大ざっぱな評価だけであれば、実施するにあたっての特別な心理学的な予備知識もそれほど無くてもある程度の評価は可能です。

また、神経心理検査に限っていえば、STやOTでも実施可能な点もあり、養成課程で特別にリハビリテーションや神経心理学について広く学んでいるわけでもない(場合が多い)心理職があえて評価や介入を行う必要性や意義はどこにあるのだろうという意見も以前聞いたことがありますし、私も特に神経心理学的評価に限っていえば必ず心理職である必要性があるのかは議論の余地があると思います。

一方で、心理職にしかない観点も少なからずあるといえます。まず客観的な視点からの心理評価やスクリーニング(鑑別)だけではなく、その対象となる方々の内的な世界をその方を中心とした視点や言葉で扱うことができるという点です。

上記の点はやはり心理職の固有の視点であるといえます。例えば多動性や衝動性という言葉で表現される行動、特性、それに不随する事象であっても、その方の言葉や内的世界から表現されると全く違った意味を持つことは想像に難くないでしょう。

日常的な例で例えるならば、頭が重いというのを、「頭重感がする」というのと、「頭に靄がかかったような感じがして1トンくらいの漬物石が頭の上に乗っているような感じで、頭がずーんと重たくて何も考えられない」と表現すると全然違うのがよく分かると思います。

医学的な判断が極論はデジタルな世界であるに対して心理学的な観点はアナログな世界と表現されることもあります。

頭重感=うつ状態であったとして、医学的にはどこまでいっても「うつ」と表現されますし、誰のどのようなうつでもそれはカルテには「うつ状態」と表現されると言い換えてもいいでしょう。

対象となる方の全体性や個別性、内的世界を視野に入れて評価や介入を行う点が心理職の専門性といえます。

別の言い方をすれば、浅く広く(時に深く)かつ全体的に内的世界から(客観性も同時に担保しつつ)理解するというスペシャリストでありながらゼネラリスト的な性質を持つ点(他領域横断性)であるところが特徴といえるかもしれません。

ところで、上記の客観性を担保しつつ、内的世界を扱うという心理職の性質上、神経心理学的な観点は相性が良いのではないかと思っています。

その理由は個別性に重きを置いて、内的世界を扱う性質上、それらによって損なわれる可能性のある客観性を補うための種々の教育や訓練はあるにしても、心理職の仕事の性質上、どうしても主観に寄りすぎたり経験則に寄りすぎたりすることが時に否めないからです。

こういう風に言ってしまうと、一般の方々は特に思い込みや主観だけで心理職は援助しているのかと誤解される方もいらっしゃると思いますが、実際は世間のいわゆるよくあるカウンセラーのイメージよりは意外とロジカルでシステマチック(あくまで私見です)に見立てて介入している場合が多く、あくまで他職種と比べると主観要素が入り込みやすいという意味です。

今回は力尽きたので、次回「〜STでもOTでもなく、心理職がリハビリテーションや神経心理領域に関わる意義について考える②〜」に続きます。

本記事をご一読頂きありがとうございました。

この続きも近日中に投稿致しますので、宜しければフォローまたは記事の閲覧宜しくお願い致します。





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