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歴史の中の美術品:近世日本の銀貨に龍が舞っていた

明治時代の一圓銀貨についてのお話です。

この一圓銀貨の裏側には龍が掘られています。

初期の一圓銀貨です。明治3年製造です。
裏には龍が彫られてます。日本人は短期間で銀を世界レベルで加工する技術を身に付けたのです。

見事な龍が舞っている硬貨です。

まず龍とドラゴンは別物です。
日英翻訳で直訳すると同じになりますが別物です。


龍とは東アジアで神聖な存在です。神様と言っても過言ではないです。

私の学生時代のノートを読み返すと、紀元前2000年頃に中国の夏王朝(かおうちょう)にて初めて龍の伝説があったと書いてました。

当時、質問攻めにしていた歴史の先生の情報では、夏王朝そのものに存在の証拠がなく伝説の域なので教科書に載っていない。

「ワシは知らん、しつこく聞いてくるな!」
「お前がエライ学者になって夏王朝の存在を証明してくれ!」
と言われました。
先生が授業で余談をいうと、私が食いついてマニアックな質問ばかりするのですが、切り返しのうまい素晴らしい先生でした。

ドラゴン
ヨーロッパの伝説上の生物です。
羽があり、お腹が丸くて、悪役で英雄に退治されます。
ドラゴンクエストに出てくるドラゴンがその象徴ですね。

龍と私の関係
刺青の龍
幼少期に親戚に任侠の方が居て刺青が龍でした。
世間的にどうかという人もおられると思いますが、中には本物の男もいます。
大人の男の生きざまを見て尊敬してました。
(尊敬はしてましたが、私は普通の会社員になりました)
龍の神話を聞かされた思い出があります。

父親が龍の絵を描いていた
父親が江戸時代の風刺絵の画集を持っていて、よく模写をしていた。
筋肉隆々の浮世絵を描いたり龍の絵も描いました。
龍は太い眉でギロりとした目が特徴的でした。

幼少期に祖母から見事な龍の掘られた銀貨をもらった
明治時代の一圓銀貨を一枚もらいました。
龍が掘られた銀貨で龍は太い眉でギロりとした目でした。
今となっては形見の品ですね。

歴史上最も尊敬する人物が臥竜と呼ばれていた
三国志で有名な諸葛亮のことですね。私的には三国志演技ではなく、十八史略という正史を元にした話のほうの神格化が少なく諸葛亮の本当の姿と思えて好きです。

まず幼少期に祖母からもらった一圓銀貨も見てください。
ずっしりと重たい。
直径: 3.858cm
重さ: 26.96g
品位: 銀900/銅100

明治29年の一圓銀貨です
裏には龍が彫られてます

この龍が握っている珠は「宝珠(ほうじゅ)」と言います。

宝珠という珠です。3本の爪でつかんでます。

宝珠て、火炎が燃え上がっている形をした玉。ほしい物が思いのままに出せるという玉ですね。
ドラゴンボールは宝珠を元にしてそうですね。
次は有名な話で、龍て9つの動物からできているそうです。
・角は鹿
・頭は駝(ラクダ)
・耳は牛
・目は兎
・項(うなじ)は蛇
・鱗は鯉
・腹は蜃(みずち:大ハマグリ)
・掌(たなごころ:手のひら)は虎
・爪は鷹

最強の生物ですが、ラクダがいる時点で日本発祥とは思えないですね!

幼少期の私はこの一圓銀貨がきっかけで古銭が好きで、お年玉で安い古銭を少しずつ買ってました。

ひいばあちゃんが戦争中の軍票(軍隊が通貨の代用として使用する占領軍の交付する代用貨幣)をくれたりして、大量に古いお金を保有することになりました。

うちの祖先が満州から持って帰ってきたそうです。
天保通宝(てんぽうつうほ)、江戸時代のお金です。一枚はおばあちゃんのタンスにあったそうです。他は買いました。

昭和初期のお札は大黒様とか聖徳太子、二宮金次郎や明治時代の立役者の肖像画が印刷されていました。

伊藤博文の千円札と聖徳太子の千円札です。聖徳太子は一万円札のほうが有名ですが千円時代もあったのです
板垣退助の100円札と岩倉具視の500円は透かしのないバージョンです
終戦間もないので銅がないので10円は札でした
二宮金次郎の1円札
戦争中の昭和19年などは金属不足で50銭札です
戦時下の日本では紙幣とアルミ貨幣が中心だったのです

お札で偉人の顔を見たので、学校の図書室で歴史の本を読むきっかけになりました。

歴史好きと言いながら、結局はお金が好きなんかい!と思わんでもないです。

色々銀貨を見たのですが龍の刻印された明治時代の一圓銀貨に勝るものはありませんでした。

一圓と聞いて、なんで一円玉ごときを話題のするねん!と思いますよね。

第二次世界大戦終結で、政府は戦勝国などへ賠償金を払うために大量に通貨を発行して支払いました。

その結果、歴史上最も強烈なインフレが起こり円の価値が大暴落して紙幣は紙くず同然になりました。

それまで通貨は、10円金貨が最高通貨で一般的には1銭を使ってました。

100銭=1園でした。
1銭の半分で半銭もあります。今日は面倒くさいので写真は載せませんが(笑)

お金がないからと言って紙幣を発行して払うと、戦後に円の価値が数百分の一になって、国民の生活が困窮してから高度成長になるまでどれぐらいの月日を要したか歴史を振り返るとよくわかりますね。

話はそれましたが、今の一円玉はアルミで安っぽいですが、明治の一圓銀貨は、銀90%を使ってます。

素材としての価値がありました。
他の国に持っていっても銀24グラムの価値として使えます。

今は日本銀行券です。
一万円札という日本銀行券を政府が一万円の価値があると保証しています。素材の価値としては1円50銭ぐらいです。新紙幣はもうちょっと高そうですね。

こんな貨幣の本が毎年売られているんです。
毎年買ってます。

こんな本知ってますか? 昭和中期からずっと存続してるのです。
現金の価値+希少価値が足されるのです


一圓銀貨も色々種類があるのです
明治8年、9年は銀貨が高いです。混乱して偽物が出たりして対策が大変だったみたいです
一圓銀貨と同サイズで貿易銀というのもあるのです
当時こんなマニアックな高校生に質問攻めにされた先生は困ったそうです
お金でお金を買うのです!
聖徳太子は百円札にもなってますね!

明治の一圓銀貨のデザインから制作まで加納夏雄さんとその門下生が行ったそうです。

大日本帝国の菊の紋章を葉が挟んでます。
左が桐の葉で、右が菊の葉です。

おばあちゃんから貰った一圓銀貨(表)

つまり、一圓銀貨は日本伝統そのものをモチーフとしたのですね。

開国した日本が海外との貿易で使用する通貨なので国の象徴としたのですね。

そこに龍も刻まれたのです。

龍は水を司る存在で、力強さや繁栄、守護の象徴。

この一圓銀貨には、当時の日本の政権トップが新しい日本の繁栄と国家の守護の想いを込めたと思います。

今の日本のトップは誰がやっても色々言われて大変とは思いますが、戦争に負けても、バトンを繋いで復興して、今も日本は独立を保っているので、子孫達もまあまあよくやっていると思ってほしいですね。

なんやかんや言っても、日本ていい国だと思いますよ。

おばあちゃんから貰った一圓銀貨(裏)
自分の給料で1円銀貨をコツコツと収集してます。
ノギスで大きさ調べて、比重計で銀の含有率調べて偽物鑑定できます。

というわけで、私の中ではこの一圓銀貨は、優しいおばあちゃんの形見でもあり、日本人の作った美術作品でもあり、本当の宝物になってしまった一圓銀貨を大事にしていますということで締めくくらせて頂きます。

長い文章を読んで頂きありがとうございました。

需要があれば、美術品好きな雲の数百点以上の貨幣コレクションを掲載したいと思います。


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