連載小説:芸能人の僕が干されたから、フリーランスになりました⑦
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ、、、
鳴り止まないシャッター。良くない理由でここまでシャッターを切られたことは初めてだ。記者の声に混じって怒号・奇声が鳴り響いている
「クソ事務所。ヤクチュウ集団だな。」
「お前に期待なんてしなきゃよかったわ」
「敦〜私達は信じているわ」
とにかく無言を貫き急ぐように事務所の車に乗った。
社内で新聞が置いてあり見ると、事務所の前で謝罪している社長がおり、
見出しには『薬物事務所の実態明らかに!!』という記載が。
まさかこれから一生懸命役者としてやっていこうと思った矢先このようなことが起きてしまうとは夢にも思っていなかった。
すぐに事務所マネージャーに「どうしてこんなことになったんだ」と聞くとなんと内部から情報を外に流出させた人間がいるらしい。
俺は秒速で気づいた。かざみだ。かざみしかいない。恐らく俺のせいで起きた週刊誌接待によって、事務所に不信感を覚え結果としてこのような行動をとったのであろう。とんでもないことをしてくれたもんだ。
しかも、あいつが事務所の情報を暴露した理由も俺との独立を考えさせるためでもあったのであろう。複雑な状態になってしまったもんだ。
マネージャーの下口が落胆したような感じで
「敦さん。終わりましたね。僕ら」
と言ってきた。それに対して何も言い返すことはできなかった。
車内はまるで葬式のように静まりかえっていた。
事務所につくと警察が事務所にいた。テレビで見たことがある家宅捜索をする警察だろう。昔警察の役をやった際に、やったことがあるがドラマと本物は全然違うなあ。そう思いながら眺めていた。
そこに憔悴しきった社長がいた。一点を見つめてビー玉のような目をしていた。あっとゆう間に事務所の荷物はすべてなくなり、もぬけの殻になった。
その後家に帰り、ベッドに横になった瞬間睡魔に襲われ眠った。
翌日テレビをつけるとワイドショー各所で事務所がとりあげられていた。
「この事務所昔から怪しいと思っていたんですよね」
「なんか他にも悪いことやっているんじゃないの?」
「所属タレントのこと信頼してくれるスポンサーいるんですかね」
言いたい放題だ。
下口からメールで全CMの打ち切りとハリウッド映画の出演見合わせの連絡が来た。後に俺が大麻使用のこともバレるだろう。
人生というものはうまくいかないもんだ。そう初めて気付かされた。
その日から1週間は家から一歩も出なかった。家の周辺にマスコミが多くいたので出れば取材の嵐になるのもあるが、何もやる気がなかったことが大きい。
1週間後かざみから突然の連絡が
「一緒に事務所立ち上げて1からやり直しませんか?」
お前がこんなことしたんだろ。と怒りながらも冷静になった。
かざみは奇跡的にマスコミからの取材も少なく、むしろ被害者のような顔で受け答えをしていた。芸能人のドンの嫁はとんでもない権力を持っていることが1番影響しているに違いない。この女についていけばある程度ある程度安泰だろう。そう思い
「ぜひお願いいたします」
と震える指で送った。
語り手
今も昔も権力というものは恐ろしいですね。
生かすも殺す権力次第。ですもんね
干されるまで後4話
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