済州島旅行#07.一番すきだった郷土料理のゲンイグク
済州島に行ったら欠かせないのが、海鮮料理。
ソウルではなかなか食べられない、太刀魚やサバのお刺身を楽しめるのも済州島の魅力です。
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ゲンイグク(겡이국)
済州島で食した海鮮料理のなかでも一番感動したのが、ゲンイグク(겡이국)。
グク(국)は汁物・スープ料理、ゲンイ(겡이)は済州島の言葉で蟹という意味で、わかめとすりつぶした蟹の入ったスープ料理をいいます。
ゲンイグクは古くから伝わる済州島の郷土料理ですが、現代では食文化が多様化し、それと同時に海の蟹が減少したこと、さらには作り方が複雑なことから、今では済州島でも失われかけている料理だそうです。
そんなこともあり、今回は西帰浦市のメンドロンヘジャングク(맨도롱해장국)にお邪魔しましたが、こちらはゲンイグクを提供しているほぼ唯一のお店だとか。
本当に貴重です。
さて、ゲンイグクの前に、副菜を見てみましょう。
キムチ類のほかに、キノコの炒めもの、練りものの甘辛煮などもありました。どれもご飯に合うおかずです。
韓国料理を食べれば食べるほど、結局はこういうのが一番かもと感じたりもします。ま、実際は、そのとき食べている料理が一番ですけどね。
そして、ゲンイグクの登場です。
わかめがたっぷり! ウニのように見えるのがすりつぶした蟹です。小さな蟹を丸ごとすりつぶしているため、食べた瞬間から海の香りと蟹のうまみが口いっぱいに広がります。食感はというと、ふわふわながらも少しジャリっとする、ほかではあまり出会わない食感。正直、最初は「ん?」と違和感がありましたが、ひと口ごとに深まるそのおいしさから、すぐに気にならなくなりました。
スープは透明で、非常にあっさりしてます。素材の味を活かして、余計な味付けは一切していないよう。海臭さは一切なく、さっぱりしているのに、食べるごとにどんどん広がる優しい深み・・・。
いやあ、まじで、うんまい。
なんでしょう、素朴といえば素朴ですし、どこにでもありそうな味なのに、決してそうじゃない。ゲンイグクでしか感じられない深みと豊かさが、確かにありました。
シンプルなのに、リッチ。
また、庶民的でありながら、済州島ならではの贅沢さが見え隠れしていたのは、アワビが入っていたからかもしれません。
火が通ったアワビは柔らかく、あまくておいしかったです。
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特別な味ではなく、シンプルであっさりしているのに、豊かで深い――。
ひとくち食べただけで「うまっ」と叫んでしまうような、分かりやすい味ではありません。強く主張することのない、あっさりとした優しい風味。ただ、スプーンを進めていくごとにゆっくりと、じわじわ、気づいたらその奥深さにはまっているような魅力的な逸品でした。
また食べたいなあ。毎日食べても飽きない自信ある。
・・・でも、西帰浦は遠い。くぅ~。