マガジンのカバー画像

『エッセイのまち』の仲間で作る共同運営マガジン

4,370
メンバーシップ『エッセイのまち』の仲間が見つけたステキなエッセイを保存しています。メンバーの方は、他の方、もしくはご自身のエッセイを自由に追加してください。(エッセイ以外は掲示板…
運営しているクリエイター

#音楽

短歌を針と糸で刺繍してもらいました。

はやいもので、今年になってからもう三週間近く経ってしまったのですね。 ちゃっちゃとなんでもこなせないままこんな年になってしまったので、今年もたぶんスローな散歩みたいな感じで歩いて行きたいと思ってます。 去年、noteで出会ったうわの空さんと、はじめた 「糸で綴ることばのお店。」にわたしの短歌を 刺繍してもらいました。 綴った短歌が、糸でひと針ずつ言葉の形に 形作られるって考えてみたらほんとうに 刺激的です。 すらすらと鉛筆で文字を書いたりするのとは ちがって。 刺繍

音楽で彩る、秋の短いエッセイ|スピッツ「楓」

秋の音楽はほかの季節にくらべて、ひっそりと静かな曲が多い気がする。 春の浮かれた陽気が漂うサウンドや、夏のお祭り感もなければ、冬みたいにクリスマスや年末のイベントにちなんだ楽曲があるわけでもない。 それでも秋には、あの肌寒い風が吹き寄せる季節だから、涼しげな空気にあてられながら歩いていく夜だから聴きたくなる、静かで寂しげな「秋」の曲がたくさんある。 自分にとって、そんな「秋」の季節に ふと聴きたくなる曲が、スピッツの「楓」。 一聴しただけで、どうしようもない別れを連想

1991年生まれの僕と同い年のアルバムの話⑤Girlfriend/Matthew Sweet

以前この記事で書いたことがあったけれど、大学生の時にコンサートスタッフのアルバイトをしていた。 授業の無い日は都内近郊のコンサート会場に派遣されて朝から晩まで働いた。大抵は会場内に大量の柵を並べたり、同じ場所に(警備という名目で)何時間も立ち尽くしたりしているうちに1日が終わった。 元々音楽が好きなのでお気に入りのアーティストの現場に入れたときは嬉しかったが、必ずしも開演中に場内に居られるとは限らないし、運よく場内の配置に着けたとしても演奏しているステージには背を向けて客席

「安全な場所に居続けてください」、もうひとつの意味。

もうひとつまえの台風が、やってくるとテレビのニュース 番組でアナウンスされていた時に、耳に止まったのが このフレーズだった。 安全な場所に居続けてください。 もちろんこれは災害に向けての命を守るための文言だし。 この文章の意味以上の意味はないのだけど。 わたしはすぐに思った。 ほんとうに、そうしたいと。そうありたいと。 Xとかを柄にもなくはじめてみたのが二年前だった けれど。 やり始めてみると、やたら内省するようになっていた。 内省し始めると、わたしのメンタルは

あやまちに馴染みたい、夜だった。

罪とは言わないまでも、その場所に居る人に とってはちょっとした心地よくないことを してしまうことってある。 どうしてそんなふるまいをしてしまったん だろうって、忸怩たる思いに駆られる こともある。 じくじたるってほんとうに凹んできそうに、 重たい漢字だな。 ほんとうは全然違うことを書こうと思って いたけど。 この間、大好きな作家の方がもうこの世には いらっしゃらないお知らせをTwitterで 知って。 あの話に出会いたいと㏚誌「花椿」をめくっていた。 <過ち>につ

AI画像と文章がゆるぎなく一対一で向き合っている。(#創作大賞感想)

いつもわたしは少し不思議になる。 みんな言葉をどんなふうに読んでいるんだろうと。 わたしは癖なのか、小説の言葉を目で追っている とき、そこには脳内でビジュアルを変換させながら 読んでいる。 ゆえに、わりと描写のこまかい作品がすきだったりする。 書く時も然り。 書く時は頭の中にある映像を言葉に翻訳している。 そういう経験をはじめてしたのは『マディソン郡の橋』 だった。 とつぜん読むスピードで映像がわたしのなかに立ち上がって きて、今脳の中で何が起こっているのかとす

1991年生まれの僕と同い年のアルバムの話④IN THE LIFE/B'z

時に、人が好きなものに注いだ愛は、ほかの誰かへ伝染することがある。 中学1年生のある朝、友人のKが興奮した様子で僕の席に飛んできた。 「これ、昨日話したやつ。」 とにかくすごいんだ、CDを貸すから聴いてくれとKが僕に熱弁していたのは昨日の帰り道のことだ。その翌朝、Kは早速僕に2枚のCDアルバムを手渡した。 それはB'z The Best PleasureとTreasureーー通称「金盤」「銀盤」とも呼ばれるB'zのベストアルバムだった。 Kは小学校の高学年くらいから音楽

E107: 37年越しの夢叶う

金曜日、うりもさんのスタエフにて 「歌詞が降りてこないと、音楽が鳴らない…」 八風さんがそう言った時、僕は感動した。 それ、ちょっと、わかる… ひょっとしたら、僕と似ているかもしれない。 そう思った。(勝手なこと言ってごめんなさい) ただし それは、僕が音楽を作る、という意味ではない。 「感覚的に」よくわかる、ということだ。 僕は、頭の中で画が浮かばないと、 まるで文章が書けない。 だからといって、お絵かきができるか というと全くできない。 頭の中で画像が浮かん

桜の森の八分咲きの下

春が苦手だ。 正確に言うと年度の切り替わる時期、3月後半から4月頭くらいが苦手だ。 つまり僕は環境が変化することが嫌いなのだ。今の部署の仕事にこれといった思い入れは無いが、僕にとっては思い入れのある仕事をするよりも慣れた環境で慣れた仕事をこなすことの方が何倍も大切なのである。 身体に染み付いたルーティンの中に仕事が落とし込まれ、生活の中で仕事がほとんど無色透明な存在になるのが僕の理想だ。 環境が変わる春という季節に、僕はまるで死刑囚が刑の執行を待つような心持ちで人事異動の

はじめてで、最後の妹。

4月19日。 まるで夏の訪れを感じるような春の日。 5カ月の入院生活を無事に終えて、 母が帰ってきた。 退院の時は、リハビリテーションのみなさんが 退院おめでとうの声を集まってかけてくれた。 母は平然としていたけど、わたしの方がうるっと きてしまった。 あの病院の主治医をはじ療法士さん、看護士さん スタッフの方々、すべてが恵まれ過ぎていた。 わたしが同じ病を得たら、お世話になりたいと決めて いるぐらい。 そんな母はいますべての今日の出来事を終えて 夏の全国高校野球

藤井風「満ちてゆく」に満たされて。

リリースされてしばらく経っているので 後だしジャンケンなところは否めない。 藤井風の「満ちてゆく」の動画を見ながら いつも号泣してしまう。 noteは遺書だからって前から言っている そのあたりも映像と重なってわたしに とってドンピシャだった。 人が生きて悩んで生きて失ってまた ふたたび老いてゆく自分を生きて、 すべてを差し出しながら死んでゆく という世界観にわたしはとても共鳴 していた。 音楽的の技術などについてどう感じたかは 専門外なので書けないのでこの歌詞にこの映

かなしみに溺れそうな夜に。

母が病に倒れてからなにを感じたかというと たぶん、知っていたことだけどわたしももう そんなに若くないってことだった。 悲観とかじゃなくて。 あたりまえのことだし。 時間は人々に平等に刻まれているから 知っていたけれど。 その時思ったのは、どれぐらいの時間が わたしにも残されているのかわからない けれど。 うまくいえないけど。 ちょっとうまく言おうとするとしたら。 わたしのまわりをちゃんと支えてくれる 人たちものたち、場所たちのことに ちゃんと心を尽くしていきたいと思

CD購入は推しへの応援。

「春の連続投稿チャレンジ」に3本投稿できたので、目指せ5本!ということでユルい記事を。5本目はギリで投稿しようと思う。 はじめて買ったCDは? →My Little Lover「Hello, Again 〜昔からある場所〜」 今でも様々なアーティストがカバーするくらいの人気曲ですが、時代を感じます。当時は音楽CDが何百万枚も売れる時代でしたからね。今じゃとても考えられません。 今はダウンロード全盛、下手したらサブスクですからね。CDを買う方も減ってしまったようですが、

1991年生まれの僕と同い年のアルバムの話③Loveless/My Bloody Valentine

大学受験よりも高校受験のほうが何倍もしんどかった。 都立の志望校を目指すには内申点が足りないと言われた。内申点の1点は500点満点の筆記試験の6点分に相当するらしい。中学の授業科目は9科目あるから、例えば内申点がオール4の人とオール5の人では試験を受ける前からすでに50点ほどの差が開いていることになる。 だから不器用ながらに少しでも内申点を稼ごうと勉強を頑張った。しかしテストの点数が必ずしも内申点には直結しない。特にどの科目も「関心・意欲・態度」という項目の評価が悪かった。