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香澄 海
2023年11月6日 12:47
世界中に烙印を押す音が響いている正しい人でありたいのか正しい人だと思われたいのかその闇は深くて正しいをふるえながら放り投げてみる誰も誰かが傷つくのを見たくないのに傷つけている人の傷ついたこころは見えにくいからオロオロしてる間に弾丸が飛び交う優しい人でありたいのか優しい人だと思われたいのか誰もが優しさを持っているはずなのに互いに届けあえずにいる正しさが激しさを増
2023年1月5日 20:30
ダンスに浮かれて青い悲しみを散らそう輝く風に身をまかせて凍える心を暖めよう君が言った「限りなく闇に近い箱」を見つけた時には君の汗の匂いと閉め切ったカーテンだけが残っていた君が一人で去ってしまったので僕は窓を開けたよ君のにおいも 君の寂しさも吹き飛んでしまうくらいあっけらかんとした風が吹き込んできた窓辺に置かれた糸の切れた風鈴が君の器用な指先で吊るされる日を待
2023年1月3日 19:22
ミルクセーキを飲みませんかかすれた声でそう言うので卵を割り砂糖を入れ牛乳を注いだ赤いサクランボはなかったがお盆にのせて持っていくともう事切れていたミルクセーキは飲まないの?ーもう飲めないんだよサクランボがなかったから?ーあぁ あの赤いサクランボ 君は好きだったね 僕は見てる方が良かった夜が引き裂かれながら明けていく私はあたたかいタオルで顔を拭き
2023年1月1日 01:47
あいみてのあたしみてのあしもとのいしのだれでもなさとあんただけの顔つき迷い石のコロコロ砂味のコンペイトウいっそ ほろ苦く響けばいい冬のコオロギみたいにあの子が欲しいこの子はいらない声の反響がちっぽけになった食卓で生き物を飲み込むつぐんだ口に棒でグイグイ入れていく口は徐々に開いていく歯に 舌に 喉に生き物が通り過ぎるあたしだけ だものあた
2022年12月30日 14:05
こんこんと眠るおかさんを見て死んでしまったのじゃないかとおびえてた頃雨上がりの工事現場の大きな穴に柔らかいチョコレートみたいな土がたまっているのを見つけて思わず飛び込んだ靴下まですっぽりはまってそのまま裸足になり夢中で 土の香りとなめらかな粘りのあるその肌触りを楽しむ足指の間 ひんやりと抜け目のない土が隙間にすべり込んでくる周りは土の壁誰か通りかかると思って
2022年12月29日 21:44
冷水を浴びせかけられびしょびしょのグー小指から開くと 小さな傘があった「何故」と問うには細心の勇気が必要だ「どうして」に至ってはよく咬んで生殺しにする「誰」かの「何時」かと重なる事を求めたり傘をすぼめて首をねじったり「如何」に生きるか迷走する私の中心で水を恐れる傘が くるくる回る賢治が願った人のようにはなれないと傘をたたむたび自分に「だれ」っと寄りかかる雨粒が激し