夕餉
あいみての
あたしみての
あしもとのいしの
だれでもなさと
あんただけの
顔つき
迷い石のコロコロ
砂味のコンペイトウ
いっそ ほろ苦く響けばいい
冬のコオロギみたいに
あの子が欲しい
この子はいらない
声の反響が
ちっぽけになった
食卓で
生き物を
飲み込む
つぐんだ口に
棒でグイグイ
入れていく
口は徐々に開いていく
歯に 舌に 喉に
生き物が通り過ぎる
あたしだけ だもの
あたしだけのけだもの
あたしだけ のけもの
あたし けだもの
生き物がくちゃくちゃに
溶けて
あたしは唇を横に引っ張って
舌を出した
⭐︎朗読はこちら