物を大切にするということ、命を守ること
母の日にプレゼントしたタオル
母は週に2回、ディサービスに通っている。
そこで介助してもらいながら入浴も済ませてくる。
なので毎回タオルが必要で、今年の母の日にはディ用に今治タオルをプレゼントした。
いつも使っているものと同じぐらいの大きさのスリムタオルと、普通の大きさのフェイスタオル。
可愛い花柄で、色違いで2セット用意した。
母がそれまで使っていたのは、次女が保育園で使っていた20年ほど前のタオル。
そこにはひらがなで次女の名前が書かれている。
昭和6年生まれの母。
戦争を経験し、貧しい時代を生き抜いてきた母にとって、新しいものを使うということは、特別なことなのかも知れない。
タオルをプレゼントした時は喜んでいた。
ディ用にと言うと『嬉しい』と言ってくれたので、これまで何度もあったような、後生大事に押入れの奥に仕舞い込んでしまうことはないだろうと思った。
しかしプレゼントしたあと、母はまた次女が保育園で使っていた20年前のタオルを使った。
ん?と思ったが、聞かずにいようと思い数日聞かずにいたのだが、やはりどうしても気になってしまい、とうとう母に聞いてしまった。
「あのさー、なんでまだこのタオル使ってるの?」
「あーそれちょうどいいのよ?」
ーーちょうどいい?
ーーちょうどいいとは?
「いや、あげたでしょ?新しいの」
「うん、あれも使うよ?順番に使おうと思って」
「順番…。もうこれ(古いタオル)雑巾にしようかと思ってたんだけど…」
「えーー?!雑巾って!それはちょっと…」
「あっそう、じゃあいいよ好きにして」
そこで話は終了。
これ以上話すとケンカになる。
空気が読めない母
私が母の立場なら、プレゼントされたものを優先して使うだろう。
新しいものを使うのは嬉しいし、なによりそのほうがプレゼントしてくれた人に喜んでもらえると思うから。
母には昔からそういうところがある。
気遣いができないというか…。
空気を読まないというか…。
そこに悪気はないから、こちらが黙るしかないのだ。
いつもそうだ。
そこでこちらが何か言っても『だって…だって…』と言い訳が延々と続くのだ。
そこで『あ、そっか、ごめんごめん』とは絶対にならない。
それが余計に私の負担になるから、昔からそれ以上は言わないようにしてこれまでも母と過ごしてきた。
私が学生の頃履いていた靴下をいつまでも履いている。
ビヨビヨに延びたレギンスをいつまでも履いている。
靴下や服を処分しようとゴミ袋にひとまとめしていた中から、いつの間にか引っ張り出して使っている。
そんなことは今まで何度もある。
レギンスも新しいのを買ってあげると言ってもコレがいいと頑なだ。
このデザインでないとイヤと言う。
必死に同じようなものを探すがなかなかないので私もお手上げである。
物を大切にすることは素晴らしいことだ。
それを否定する気はさらさらない。
しかし私としては、心から〝すごい、そうだよね、物を大切にするって大事だよね〟とはならない。
モヤモヤしてしまうのである。
部屋の電気をつけない母
母はいつも暗い中ナンプレしたりテレビを見ている。
「目が悪くなる」と指摘して、初めて渋々電気をつける。
それはほぼ毎日の話し。
理由は聞かなくてもわかる。
〝もったいない〟なのだ。
最近はもう言うのがしんどくて、あまり言わない。
せっかく白内障の手術をして、よく見えるようになったのに…。
さすがに夜になるとつけてくれるので、もうこの件は諦めている。
暗い部屋でいる母を見るのはつらい。
しんどくなる。
でもそれをいちいち言うのもしんどい。
どちらにしても、しんどいのだ。
エアコンをつけない母
もちろん、母はエアコンもつけない。
これに関しては本当に感覚がおかしいのだと思う。
なんでつけないのか聞くと、返ってくる答えはやはり〝もったいない〟だ。
今のエアコンはよく出来ていて、昔のと違ってそんなに電気代はかかっていないと説明をする。
しかし、母はつけない。
言えば渋々スイッチを入れるが、言わなければそのままなことの方が多く、夏に関してはさすがに命に関わることなので、言うのと同時にもうこちらでリモコンを操作する。
あまりにも無頓着なので、昨年母用に温度計を購入し、アラームを設定した。
(こんなの↓↓↓)
一定の気温や湿度を超えると出ている顔の表情が険しくなり、アラームが鳴り知らせてくれる。
もうこれでバッチリ。
…ではなかった。
なんとアラームが鳴っているのにも関わらず、それをポチッと切り平然と過ごす母。
驚いた私は「何でエアコンつけないの?」と平静を装いながら聞くと、驚きの返答が。
「いやいや、そんな暑くないよ?」
この時ばかりは腰から砕け落ちそうになった。
そうきたかー。買った意味ーー。
私が家に居て気付いたから良いものの、ひとりで蒸し風呂のような部屋に居たと思うとゾッとする。
というか、今までよくここまで生きてこられたものだ。
〝アラームが鳴ればエアコンを必ずつける〟
それを約束させたのが昨年の夏の話し。
さぁ…今年の夏はどうなることやら。
物を大切にすることも大事だが、私は母の命を守らなければならない。
母との闘いはまだまだ続く。
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