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悲しみと怒りのルーツ ― アンソニーが教えてくれたこと

さよならの重さなんて知らなかった頃、
飼い犬が突然いなくなったんだ。

もらってきたポメラニアンの犬だった。
すごく可愛くて抱っこしたかったけど、
噛みついてきて、させてくれなかった。

私がピアニカで赤とんぼを吹いたら、
いつも横で歌ってくれたアンソニー。
それが私とアンの絆だった。

だけどある日、学校から帰ってくると
アンソニーが見当たらない。
アンは居なくなっていた。

なんで、、、!?


おばあちゃんに聞くと、
たまたま家に来た知り合いが
欲しいって言ったからあげたと言った。

わたしは耳を疑った。
アンが居ないので事実だと悟った。


なんであげたん?!?!
大好きやったのに、、、
と怒りが込み上げた。

まだアンと過ごしたかった。
まだまだ、そのままでいたかった。
もっともっと遊びたかった。
もっともっと音楽を
一緒に楽しみたかった。


もう会えないことが
悲しくて悲しくてたまらなかった。
玄関の冷たい木の床に座り込んで、
小2だった私は声を上げて泣いた。


外はもう暗く街灯の灯だけが
ぼんやりと差し込んでいた。

いつからかわたしは、
無意識に影を見つめていた。

40年後、
同じような体験が巡ってきた。

あると思っていた発達支援が
就学とともに無くなったんだ。

まだまだ、
そのままでいたかった。


「そのままでいたかったんだ、私。」


それが叶わなくて、悲しかった。
辛くて辛くてたまらなかった。

玄関で泣き崩れていたあのときの気持ちが、
娘の発達支援がなくなることへの怒りとして、
形を変えて胸に迫ってきた。

あのときと同じ、
『どうすることもできない無力感』に
飲み込まれるような感覚だった。

自分では
どうにもできない無力感が
胸を掻きむしるような思いに変わり

泣くことよりも先に
怒りが込み上げてきた正体は、
小学校時代からの『感情の連鎖』。


40年後に気づけたことで
連鎖は止まり
もつれた結び目が
ひとつ解けた瞬間だった。


もしかしたら、
あなたも幼い頃に経験したことが、
今の感情に影響を
与えているかもしれません。

あのときの
『どうして?』という思いは、
今どんな形であなたに
話しかけているでしょう?


あなたの
感情の連鎖は何ですか。

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にゅにゅ
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