子供のためのプチパレ・パリ市立美術館(84)薄墨色の枝を風が通るとき/コロー・ゆれる野の花
コローは、 野原から 見える 木々や 森、 遠くに 見える 教会や 自然を 描くのが 好きでした。
お日様が雲を 照らして、 葉っぱの 先も 黄色に 緋色に 光っています。
風が通りぬけると 小枝はさらさら音を立てて細い枝をふるわせます。
コローが描く枝は、細い細い黒の線。
あ、誰かいる。
それから、
たくさんの白いお花が咲いているのに気がつきましたか。
小さな花が背伸びしてちらちらと、あっちこっちにゆれています。
コローはこうして最後に、自分の目の前に 見える 小さな 草や 花も、 流れるような 白い 線と 点ですっすっと 描きました。
それは 消えてしまうくらい細い線。 自然の 中に 溶けこんでいきました。
Camille Corot
Canteleu 1872
カミーユ・コロー
カントルー 1872
お読みいただきありがとうございました。
銀灰色の背景に薄墨の木々、しっとりした空気のなかの生き生きとした自然描写には動きがありました。「抒情詩人」とは高階 秀爾先生のご著書で言われました。
どこかに子供の心を持つ読者の皆様には、きっとコローの欲のない澄んだ詩情を感じられるのではないでしょうか。
もうすでに印象派の気配さえ感じさせるコローの作品はまだ続きます。
今回はプチパレ、パリ市立美術館からコローの美しい作品をお届けしました。この美術館は無料で作品はもちろん、中庭に面したカフェがありゆっくり楽しめます。
すいている展示場(地下) 一昨日