子供のためのプチパレ・パリ市立美術館(3)色がなくてもおもしろい?/ヘーダ・オランダ絵画の見せどころ
きれいな絵じゃないのってつまらない?
今から400年前、オランダ絵画黄金時代。たくさんの有名な絵が生まれました。
その中で今日はこんな絵。この前のモネみたいな、きれいな色は使わないヘーダの絵です。
お昼ご飯のあとでしょうか。
散らかったままの食器やグラス、片付け途中のくしゃくしゃテーブルクロスにレモンが1個。
ふたの開いたままのポットは金属でできた水差しです。これでグラスに水を注ぎます。
このポットに、まあるく窓の光がうつっているのが見えますか。
それに、誰かいる?
ポットを見ると、テーブルの上や部屋の様子までわかるようです。
あそこのグラスには本物の水が入っているみたい。
やっぱり、窓がうつっています。
オランダの画家ヘーダは、こんな金属やガラスでできた食器の表面が光るのを、本物そっくりに描くのがとても上手だったのです。
いろんな色を使わない白黒の写真のような絵。昔のオランダでよく描かれた色の使い方でした。
だけど、
切ったばかりのレモンだけは、新鮮なレモン色!
他に、テーブルクロスの上に何がのっているでしょう。
ナッツと、ナイフ、あとお皿も。
あ、でも待って。
あの食器、ななめになっていて、
もう少しでテーブルから落ちそうじゃない!?
さあもう一度、ヘーダの絵を見てみましょう。
そんな不思議な絵でも、白いクロスのドレープと縦長の額縁に囲まれると、
なんかスマート。かっこよく見えませんか。
Willem Claesz. Heda
Nature morte à l'aiguière 1643
Huile sur bois
ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ
水差しのある静物画 1643
木に油彩
17世紀オランダ絵画黄金時代のヘーダの絵は、いかがだったでしょう。
薄いグレーを帯びたこんな絵は地味だしどうもつまらないと思われる方も、ポットやグラスの水に窓からの光が反射する繊細な筆使いに気づかれたと思います。また、片付け途中のテーブルクロス、半分皮の剥かれたレモン、倒れたグラス、そしてテーブルから落ちそうな不安定な食器など、以前ご紹介したヴァニタス(人生の空しさ)の要素がたっぷりですが、シンプルな中に品格さえも感じさせるヘーダの作品でした。
皆様に人気の印象派の絵ばかりでなく、たまにはモノクロームの世界もいいかも?!
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