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苦しみなき者

人は苦しみを望まない。
しかしながら苦しみの原因を欲する。

人は無知ゆえに沈む。
あたかも白鳥が蓮華の池に潜るように。
衆生は地獄の海へと沈みゆく。

私は苦しみを望まない。
かような言葉に何の意味があるか。

自己の罪状をありありと見よ。

そこには悪業の鎖がしかと結び付けられている。

悪業とは何か。
苦しみとは何か。
カルマとは何か。
どのように私は苦しむか。
この世界の普遍の理とは何か。

それらのことを深く熟考せよ。

衆生は自ら苦の大火に飛び込む。
あたかも蛾が火に飛び入るように。
自らで自らの首を絞め。
自らで自らの心臓を突き刺す。
しかしながら。
衆生はそれなる苦の惨状を理解し得ない。

私には智慧がなく甚だ貧しい。
教えを理解することもなく。
更にはこの世の理も知り得えない。
かような惨状にある私が一体何を為し得れば。天界。吉祥妙楽と名高い浄土。数多の幸福と自由。これら全てを包含するニルヴァーナ。この究極の極致にどのようにすれば至れるか。そのことを深く熟考せよ。

来世とは何か。
どのような性質があるか。
如何に転生するか。
来世に赴く条件とは何か。
私は一体何を為せば。来世の幸福を獲得でき得るだろうか。このことを深く熟考せよ。

この世とは何か。
この世の性質とは何か。
この世は如何なる世界か。
この世とあの世で私が受ける苦しみとは何か。
この世において苦であり。
来世において更に苦である。
輪廻の無限の不利益とは何か。
そのことを深く熟考せよ。

世間のくだらない話。
自他共に何らの利益もない会話。
今日このようなことがあった。
明日はこのようにする。
これなる会話に何の利益があるか。

恐れを知らぬ者は煩悩に耽る。
恐れを抱かぬ者は世間に溺れる。
恐れが何かも分からぬ者は地獄に赴く。
何も得ることなく。何も知ることなく。
貴重な人間の生は無意味に過ぎ去り。
私に残るものは何もない。

死後。
汝に付き添う者は誰もいない。
汝が誰人の死にも干渉出来ないように。
汝もまた一人床に伏す。
愛しい者。憎らしい者。
共に何の役に立とうか。

ただ彼らの為に作った恐ろしい罪悪だけが私の面前に残る。人は過ぎ去り死にゆく。そしてカルマだけが私に残される。たとえ記憶から忘れ去ろうとも。カルマだけは消えることがない。全ては過ぎ去り忘却の彼方へと消えゆく。しかしながら行為の結果だけは未来永劫残り続ける。

然るにどんな小さな悪事もカルマの影響化であり。どんな大きな罪悪も犯してしまったなら。その罪は私自身が苦しむことにより精算される。

全ての苦しみは報いである。
一切果報はカルマに依存する。
全てはカルマの産物である。

ゆえに無知なる者よ。
カルマに対して。三宝に対して。正しき信を持ちなさい。それがあなたを救う鍵となる。

誰人も死から逃れることは出来ない。
全ては等しく過ぎゆく。
死後に財産はなく。友人も恋人もなく。
家族もなく。名声も名誉もない。
汝が培った全てのものは等しく過ぎゆく。
それらは死後に持ち込むことが出来ない。

ゆえに。
無常なる全てに何の意味があるか。
手に入れても滅び。手にしなくても滅び。
一切は等しく滅ぶ。

無常なるものに執着するがゆえに我々は苦しむ。何故壊れると分かっているものに執着するか。何故必ずなくなると分かっているものに囚われるか。それは明らかな苦痛である。無常であるものは必ず滅ぶ。ゆえに滅びゆく全てに執着してはならない。もしそれに囚われるならば必ず苦しみが生じる。それゆえ一切を遮断し放棄せよ。それこそ明らかな幸福である。

全ては壊れ過ぎゆく。
死後に継続するものはカルマのみ。
それゆえ一切の苦しみを沈める。
真理の法を強く求めるべきである。
それだけが唯一の救いである。

私の一生は無意味に過ぎゆく。
私は何も得ることなく。
人生の全てを無駄にした。
その結果私に残ったものは何もない。
満たされない煩悩と。
それに付随する飢えと渇き。
私の心は渇望で満たされ。
終わりなき苦痛を享受せしめる。
満たせども満たせども未だ満たされぬ。
私はいつ満たされるか。
私に満足を与えるものは何か。
私はそれが知りたい。
それだけが人生の答えである。

私は疑いなく死ぬだろう。
死は確信を以て我らを滅ぼす。
誰人も逃れること叶わず。
誰人も死にゆく。
それが世の常である。

私はどこに逝くだろうか。
私はどこに赴くだろうか。
死後私はどうなるだろうか。

臨終の時に際してこのような想いが心に浮かぶ。それは計り知れない後悔となり。私の心を酷く傷付ける。もっと早くに気付くべきだった。

時は満ち。
死は今や私の目前にある。

一体私は何を為すというのか。
誰人も私を救いはしない。
私を救える者は真理のみ。
そして私はそれを修めなかった。
当然の報い。私は死後。悪趣に赴く。

数多の苦痛の呻きが私を襲う。
惨憺と響く断末魔が私の心に問いかける。

お前も来るのだ。
罪深き者よ。

ダルマを実践せず。善業を為さず。数多の悪業にまみれるお前は悪趣に赴くに相応しい。

助けなどない。

お前は唯一の救いであるダルマを投げ捨てた。どんな善人がお前を救うか。死後の臨終において。お前を救える者は誰もいない。生前の行いとその結果であるカルマにより。衆生は六道一切を流転する。

ゆえにお前はお前のカルマに相応しき場所に赴く。生前においてこれなる智慧を修めていれば。地獄に墜ちることもなかったであろう。

しかしながら時は満ちた。
お前はカルマにより転生を果たす。
数多の苦痛を享受せしめる地獄へ。
お前は今墜ちゆく。。。


衆生はこのように破滅し。
臨終において酷く後悔し。楽なき世界。すなわち悪趣に赴く。

あなたは恵まれている。
今これに出会ったのだから。

今真理の秘密を知ったのだから。

迷いなく踏み込むべきです。
自らを救う為。
衆生の幸福の為。
正しき選択を以て正しき生を生きる。
かような者こそ賢者と呼ぶに相応しい。

悪しき選択と行いは破滅の原因となり得る。
ゆえに捨離すべきであり。
一切の悪を完全に断つべきです。
かような者こそ智者と呼ぶに相応しい。

人は誤りの中に生き過ちを以て破滅する。
ゆえにそれら一切を放棄すべきです。
かような者こそ聖者と呼ぶに相応しい。

破滅を恐れる者よ。
一切を捨て去りなさい。
この世に足場はなく。不安定であり。何もかもが破滅の原因となり得る。
拠り所などない。
そのことを深く熟考しなさい。

この世は無常であり。苦しみに満ち。如何なるものにも実態は見受けられない。

この世は無価値の山であり。
苦しみの巣窟である。

一切を放棄することは至極当然のことであり。苦しみから逃れゆく唯一の手段である。
ありのまま見たこの世界は苦しみで満ちている。どこにも逃げ場はなく。支えもなく。あたかも大電撃のように。確信を以て我らを滅ぼす。ゆえに全てを捨離し。遮断し。一切を智慧の目を以て見聞し。全ての謎を解き明かし。一切から解放されるべきです。

この世は苦しみである。
この世は過ぎゆく。
この世には実態がない。

すなわち。
一切皆苦。諸行無常。一切皆空。

これら三つの真理を順次に知るべきです。

これにより全ての苦しみは滅ぼされ。
全ての幸福を獲得することができる。

真理はあなたを幸福としあらゆる苦しみを滅ぼす。

それは確かなことです。

それゆえ幸福を望む者。
苦しみから逃れたい者。
来世を恐れる者。
無常性に飽きた者。
真理を渇望する者。

これなる者は直ちに真理の道へ帰入することをお勧めします。

真理のみが幸福を現し。
真理のみが苦しみを滅ぼし。
真理以外の何ものも無意味である。

幸福は真理にあります。

ゆえに貴重な人間としての生を無駄にすることなく。正しき道に進むべきです。

それだけがあなたに幸福を現す唯一の道です。

願わくば全ての衆生が幸福の道に入れますように。

私はこれなる願いを如来に祈願し奉る。

一切衆生に幸福あれ。

全ての者が速やかに覚醒の境地へ到らんことを。。。



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