窓辺にもたれて浸る夜1276日
夢を見るには騒がしくて
窓辺にもたれるにはうってつけで
耳を傾けたくなるのは僕がたまらなく
雨の音が好きだからだ
秋の雨は冷たい音がする
その音に混じって聞こえる
季節外れのカエルの鳴き声
いつ聞いても飽きないその声も
季節が変われば心配になってしまう
今は良くても来年の春に間に合うように
彼はちゃんと冬眠ができるのだろうか
元気な事は喜ばしいがそろそろお暇しなければ
明日の朝を迎えられなくなってしまう
冷たい朝は嫌なんだ
温もりが恋しい
夢の続きをいつまでも見ていたいのは
起きていても眠っていても思う事は同じ
だから夜更かししてでも
今に耽っている
今に魅せられている
カエルの声
雨の音
心臓の鼓動
冷たい窓ガラスに頬を当てながら
目を閉じて聞き入る街の呼吸
踏切の音
電車の走る音
パトカーのサイレン
隣の部屋の住人の咳き払い
どこにも行けない四畳半に敷き詰められた
どこまでもいけそうな無限の可能性
目には見えないが騒がしい何もかもが
僕を離してくれない
寝かせてはくれない
嬉しくもあり悩ましくもある
浸っていたくなる贅沢な時間
色は黒
頭の中で虹色に塗り替えたって
今だけは誰にも怒られない
僕の夢に招き入れる世界の全て
猫の様に喉がなる
気持ちいいままに眠りへと落ちていきたい
理想を実現させるには窓辺で微睡むのが
一番の近道だ
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