ポップコーンの悪夢 1241日
でこぼこ球体
キャラメル味や塩味
もそっと掴んでばくりばくりと
口に入れては頬張りながら
食べ続けるポップコーン
そりゃ映画館に行ったら
ポップコーンは食べたいだろうさ
気持ちは分かるが同意は致しかねる
映画を観ている時に聞こえる咀嚼音が
どうしても気になるんだ
もそりもしゃもしゃもしゃ
もそりもしゃもしゃもしゃ
スクリーン上に映し出されてる人物が
何事かを話しているにも関わらず
もそりもしゃもしゃもしゃ
もそりもしゃもしゃもしゃ
、、、ふーむ、、、、
気になって物語に集中できない
そこに来てポップコーン特有の
脂っこい匂いが漂ってきたりなんかした日には
席を移動しようかな?と考えてしまう程に
僕の頭の中は落ち着かなくなっていく
ポップコーンによって塗り固められていく
登場人物たちのやり取り
脂っこい匂いのする演出
咀嚼音が重なるシリアスなシーン
辛いからと言って席を動く事もできない
悪夢の様な二時間
じっと耐えて聞き分ける映画の音と
ポップコーンの咀嚼音
あぁ鳴り止まない咀嚼音と響く映画の音が
頭の真ん中でぐるぐると混ぜ合わさっていくのが
たまらなく辛いし作品に集中できない
物語は今どんな状況なのかが分からない
マナーを守って静かにしてくれよと
隣を睨んでもバリボリとポップコーンを
口に放っては食べる男は気にしない
面構えはつまらなさそう
あくびなんぞするくらいなら
外に出て行ってくれよと泣きたくなってくる
鳴り止まない悪夢の様な時間
何が楽しくてポップコーンの
咀嚼音を聞かなければいけないのか
スクリーン上では黒幕の罠にハマり
主人公が危機に陥っている
場面が映し出されているが
ポップコーンはそんな主人公に
手を差し伸べる訳もなく
もそりもしゃもしゃもしゃ
もそりもしゃもしゃもしゃ
黒幕の笑い声が響く中で
もそりもしゃもしゃもしゃ
もそりもしゃもしゃもしゃ
あぁ全く頭の中に入ってこない
物語の内容が脂っこく塗り固められていく
僕の悲しみも
もそりもしゃもしゃもしゃ
もそりもしゃもしゃもしゃ
ポップコーンの様に噛み砕かれていく
二時間分の咀嚼音が僕の頭の中に刻まれていく