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『フラッシュカード』で生きづらさを無くす ③『心配性が抜けない』という癖~損失や疫病に対する脆弱性スキーマ~
「生きづらさ」を招く《10の性格の癖》
①あなたなしにはいられない
『見捨てられ/不安定スキーマ』
②いつも疑ってしまう
『不信/虐待スキーマ』
③心配性が抜けない
『損失や疫病に対する脆弱性スキーマ』
④何も一人ではできないと感じる
『依存/無能スキーマ』
⑤私は愛が足りない
『情緒的剥奪スキーマ』
⑥独りになりたがる
『社会的孤立/疎外スキーマ』
⑦人に対して仮面を被ってしまう
『欠陥/恥スキーマ』
⑧俺なんかなにをやっても無理だ
『失敗スキーマ』
⑨あなた達についていけば安心
『服従スキーマ』
⑩何事も完璧が一番
『厳格な基準/過度の批判スキーマ』
上記のような生きづらさの原因となる10の性格の癖があります
それは私たちが子どもの頃に家庭環境や社会環境から身を守るために身に着けてしまったもの(性格)です
根本的には愛着の問題で、愛情不足が原因です
例えば、親に虐待を受けて育ったとします
あなたならこの世界をどう感じてしまうでしょうか?
人は信用ならない
私が悪いから怒られる
もっと褒めて欲しい
またいつ殴られるのかが怖い
恐怖から逃れて独りになりたい
怒られないように完璧にしよう
怒鳴られないように自分の気持ちを出さないでおこう
わたしがもっと結果を出せば褒めてくれるし怒られないですむ
少し考えただけでも、これだけ思いつきます
こうした気持ちが10の性格の癖をつくりあげてしまいます
この10の性格の癖は以下の3つの防御方法から来ています
『服従する』(相手の機嫌を損なわないように、また愛情を繋ぎ止めるために従う)
『逃げる』(とにかくストレス源から離れる)
『逆らう』(自己否定感、劣等感から抜け出すための虚勢)
です
脳の扁桃体という場所が不安と恐怖を感じる器官です
少しの恐れでも反応するようにできている警報装置です
アレルギー物質がマスト細胞に付着すると発生するヒスタミンのような花粉症に似ています
世界を知らない子どもが怖い存在に対した時、『服従する』か『逃げる』か『逆らう』かしかできません
それを大人になっても続けていることによって「生きづらさ」が生まれます
ですが世界は怖い人、怖い状況ばかりではありません
服従、回避、反抗という方法で乗り切ろうとして、自分に良くしてくれる人から離れていってしまっています。
10の癖を持たされた人々はいつも不安、恐怖、怒りを感じながら生きているのです
怯える状況でないところでも...
世界は怖いという感覚が脳から離れないのです
そうした感覚を、認知、考え、行動によって自分に「大丈夫だよ」と根気よく言い聞かせることで、徐々に安心感を得るようになります
ですが「変わる」ことは並大抵のことではありません
まずは自分の現状を知る
そして原因を探る
認知、考え、行動で性格を変えていく
このステップが基本となります
その人、生来の気質ももちろんあるでしょう
引きこもりが悪いと言っているのではありません
「生きづらさ」を取り除くだけです
一人になり、創作をする機会もまた大事な才能です
でもそれは「生きづらさ」が無くてもできるはずです
10の性格の癖を無くせば、「自律」を獲得でき、「自主性」を重んじ、「自尊感情」が芽生え、人生を楽しむという「自己感覚」を取り戻すことができます
つまりは「自由」を得ることができます
選択できます
勇気をもって、人は変われるということを信じて欲しいです
いつもの不安が襲ってきた時、
この『フラッシュカード』を唱えてください。
自分でアレンジしてもいいです。
生きづらさから抜け出そう!
~参考文献『Reinventing Your Life 自分を変えれば人生が変わる』
著ジェフリー・ヤング~
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《フラッシュカード》
③『心配性が抜けない』という癖
わたしはエレベーターに乗るのが怖い。
もし中にいる時、地震や火事になったらとか、ワイヤーが切れて一番下に叩き落されたらとか、ドアが開かなくなったらとか、恐怖の異常事態ばかりが自動的に頭に浮かんできてしまう。
でも、
実際はわたしの『心配性が抜けない癖』が働いているだけ。
だって周りの人は何にも恐れずに乗っているから。
たぶん、事故が起きる確率って限りなく低いと思う。
しっかりした数値を確かめてみよう。
勇気を出して、この状況に身を置いてみよう。
怖いけど、本当に起きるかどうか確かめることで、恐怖は無くなっていくことを学んだから。
そうしたらこうした確認癖も無くしていけると思う。
確認は必要なくなる。だって十分安全だから。
確認はただの迷信。わたしが作り上げた儀式。
正直面倒くさいし、やめたいと思っていたから。
うまくやって行ける自分を信じる。
もうこんなばかげた癖にはいいかげんうんざりだ。
わたしは変わらないといけない。
わたしならできる。絶対に。
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③『心配性が抜けない』という癖とは?
《心の叫び》
「世の中は危険すぎる!」
《現象》
・何かひどいことが起こりそうで、乗り切る準備ができていない
・「健康と病気」に対して過度に心配する
・医者が何と言おうが、自分は病気だと信じている
・パニック発作をよく起こす
・暑さ、寒さ、運動、怒り、興奮、カフェイン、アルコール、薬、セックス、高所、揺れがパニックの引き金となる
・「もし~だったらどうしよう」が口癖
・食品から衛生環境、病気の原因となるものすべてに敏感になっている
・「心配性」の恐れとなるものからすべて逃げることで、もっと癖が増す
・「身の危険」に対して過度に心配する
・犯罪記事ばかり読む
・夜、外に出れない
・家にいても、侵入者を心配する
・交通事故、飛行機墜落、自然災害など、どうしようもないことでもずっと心配する
・「貧困」に対して過度に心配する
・不景気になるのではないかと心配する
・家族が仕事を辞めさせられるのではと心配する
・失業保険や他の保険をたくさん契約する
・そういった「心配性」からノイローゼになるのではないかと心配する
・《逃げる》ことが「心配性」を強め、多くのことを避けるようになる
・結果的に人生の楽しみを多く奪っていく
・自分を保護してくれたり、世話してくれたりする人に惹かれる
・相手に恐れのなさ、強い身体、経済力を求めすぎる
・自分の恐怖感に耳を傾けてくれる人を求める
・不必要に医者に行き、検査を受ける
・倹約家で転職を好まない
・持っているものを維持するのに夢中になる
・人の多い街に行かない、公共交通機関を利用しないといった制限を課す
・パートナーに守ってもらい危険を回避する
・リスクと安全を天秤にかけ、安全を優先するようになる
・医者通い、警報機、防犯機を設置することに時間をかけ、パニック発作、心身症などの症状に囲まれ自分自身を弱らせていく
・秘密の儀式をする(アイロン、レンジ、オーブン、子供部屋、車、玄関などを何度もチェックする)
・安心を得ようと行動することすべてが、世界は危険であるという思いを強めてしまう
《原因》
・親が「心配性」を持っていた
・親が多くの迷信を信じている
・親が過保護だった
・親が世界は細菌で溢れていると考え、外出を控えたり、衛生面にうるさかった
・親が放任だった
・幼い頃の家庭環境が身体的、感情的に安全でなく、経済的に不安定だった
《メリット》
・とにかくその時は安心
《デメリット》
・常に緊張しているので疲れている
・慢性的な不安が心身症的な病気を深める(湿疹、喘息、腸炎、潰瘍、胃痛、頭痛など)
・世代間連鎖を起こす
・強迫性障害や妄想を引き起こす
・癖から逃げることは安心だが、自分の人生の質を下げてしまい、パートナーや家族の人生の質を低めてしまう
《対策・癖が弱まる時》
・「心配性」の癖の原因を理解する(親が過保護、放任か。心配は病気か外出かお金か。)
・具体的な恐れていることをリスト化する
・『恐れている状況』『回避の度合い』『恐怖の度合い』『自分の対処行動』『家族の過保護な行動』を記録する
・恐怖を感じる状況の順位をつける
・身近な人に恐怖を克服するための援助を求める
・恐れている出来事が起こる可能性を数値で示す
・それぞれの恐怖に対してフラッシュカードを作り、出くわした時に唱える
・内なる子どもが恐れているんだとイメージして、健康的な親として振る舞ってみる
・リラックス法を学んでおく(筋弛緩法、腹式呼吸、マインドフルネスなど)
・スモールステップで少しずつ対決していき、上手くいけば自分に褒美を与える
・「飛行機が墜落する可能性は百万分の一」確率を調べると自分が思うより大分低い
・パニック発作で気が狂う可能性はゼロ
・自分が「破局視」で物事を心配していると認知する
・怯えは内なる子の姿。イメージワークで内なる親をつくり、内なる子をなだめ安心させて育てる
・「複式呼吸」で浅く早い呼吸を改善する(リラックスと声をかけながら20秒かけて息を吐きお腹をふくらませる。)
・最悪の破局視で見る状況から小さな恐怖にイメージを変え、乗り越えているところをイメージする
・最終的に行動を変える「行動変容」。逃げることを止め、何も起きないことの体験を少しずつスモールステップで増やしていく
・恐怖の状況を乗り越えたら、勇気を出して立ち向かったことに対して、忘れずに自分にご褒美か褒めてあげる
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《恐怖のリスト化例》
『恐怖を感じる状況』・・・アパートに夜独りでいる
『恐怖の度合い』・・・75%
『回避の可能性』・・・80%
『自分の対処行動』・・・友人を呼ぶ。友達に電話する。外出する。遅くまで仕事する。
『家族の過保護な行動』・・・電話を頻繁にかけてくれる
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《恐怖の順位付けとスモールステップで克服》
例「家で独りでいる」状況にて
1.日中に独りで家にいる(電話してよい)
不安度30%
2.日中に独りで家にいる(電話はしない)
不安度45%
3.夜に玄関先まで独りで行く
不安度50%
4.夕方家に独りでいる
不安度55%
5.夜に家に独りでいる(電話してよい)
不安度80%
6.夜に家に独りでいる(電話はしない)
不安度95%
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《イメージをつくり、内なる小さな子どもをなだめる》
「そんなに怖がることはないよ。
ここはとっても安全だから。
自分の家だしそばにはわたしが付いているよ。
誰も君を傷つけたりしないよ。
わたしが一緒についていって守ってあげるよ。
君が怖がっていることに一緒に向き合おう。
手伝いをしてあげるよ。」
《心の変容を遂げようとするあなたへ》
進歩できたことにはしっかりと目を向けて自分を褒めてあげましょう。
時々、自分が歩んできた道を振り返り、どのくらい進歩したか確かめましょう。
この癖たちは子ども時代の自分を守るための鎧です。
ですが、大人になった今のあなたはその鎧は不必要で、重く身動きが取れなくなっています。
世界は自己のイメージの中にしかなく、それを通してしか世界は見えません。
だから、この癖たちのせいでとても苦労しているにも関わらず、懐かしみや心地よさすら感じてしまう...
子どもの頃は生き延びることが第一だったのです。
生き延びるために役立ってきたその癖たちですが、今はあなたを傷つけています。
今こそそれに気づき、なくす時ではないでしょうか?
自分を一番大切にしよう!
自分に嘘をついたり、自分を弱らせることから抜け出し、自分自身の変容を宣言するための長い旅を始める時なのです。
次回、
④『何も一人ではできないと感じる癖』 に続きます。
お読みいただきありがとうございました。