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”風になって”
わぁわぁわぁ
頭上でまめつぶみたいな人間たちが喚いている。
ぼうっと空を仰いで、その無秩序な音に体を預けていると
いちについて
ピタっ と騒音がやんだ。
いきなり静かになるとか、やめてくれよ。
じとっとした汗が、腕をつたう。手で触れた地面は、ひんやりと冷たい。
バクバク バクバク
ああ、この感覚。
運命が決まる直前、この一瞬の世界。
空間のすべてが、静止している。ただ、自分の心音だけが、響いている。
ようい
もう始まる、始まるぞ。
チラっと右を見たら、にこにこ手を振る妹を見つけた。さてはあいつ、学校サボったな。
ああ、なんだか少し、足が軽くなった気がする。
よし、妹よ。
お兄ちゃんのかっこいいとこ、
目をまんまるにして、見てるんだぞ!
両足に、力をこめて。
両腕を、ピンと伸ばして。
両目で力強く、ゴールを捉えて。
パァン
ピストルの音が、鼓膜を揺らす刹那。
スタートラインにはもう、残像だけが浮かび、
-トラックを駆け抜く、風になる。
今回も読んで頂き、ありがとうございました!
なんかΦ、短編小説書こうとしてたのに、
急に陸上選手が、体を乗っ取っちゃいました笑
Φは実際のところ、トラック競技は見る専なので
テレビの向こう側の彼らが、どんな思いでピストルを待ってるのか
知りたいなぁと常々思っています!
さてさてところで、Φの受験勉強のピストルは
いつになったら鳴るんでしょうかね…笑
なぁんてことを呟いて
今日のところは、お暇します✌