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【無料記事】「流れぬ彗星」時代背景解説!【応仁の乱・明応の政変とは?】【歴史小説】

 拙著「流れぬ彗星」の第一部、完結いたしました。
 みなさまにお読みいただき、たくさんのスキやコメントもいただいて、いつも感激しております。
 本当にありがとうございます!

 ただやっぱり「時代背景が難しい」という声を多くいただいており、「確かに…」と思うところもありますので、できるだけ簡単にまとめさせていただきました!👇

🔖どんな時代?
 まず、当時は足利あしかが将軍家しょうぐんけを頂点とする室町幕府むろまちばくふが、日本の政治を担っていました!
 畠山はたけやま細川ほそかわといった管領家かんれいけは、実務レベルのトップで、みんな足利家の親戚です。
 将軍は武士の主君でもあり、朝廷の公卿くぎょうでもあり、もちろん足利一門のボスでもありました。

🔖「室町幕府」とは?
「鎌倉幕府」に続き、「戦国時代」を経て崩壊、やがて「江戸幕府」へ続いていく、史上二番目の武家政権です。
 初代将軍足利尊氏たかうじのころから内紛が絶えず、三代義満よしみつのころ(金閣寺の人ですね)に絶対権力を確立したものの、その後六代将軍義教よしのり(恐怖の魔王)が配下の赤松あかまつ氏に暗殺されたり、幼い将軍が続いたりして、中央の統制力は弱まっていきました。

🔖応仁おうにんらんとは?
 名前はよく知られた「応仁の乱」ですが、この小説から一世代前に当たる出来事になります。
 簡単に言えば、権力者の後継争いが何重にも絡み合って起こった内乱です。
 ざっくりした「応仁の乱」(1467〜1477)の対立構図👇

【将軍家】東軍・八代将軍 足利義政よしまさ vs 西軍・弟の足利義視よしみ義材よしきの父)
【畠山氏】東軍・管領 畠山政長まさなが(次郎の父) vs 西軍・従兄の畠山義就よしひろ義豊よしとよの父)
【連中を操る総大将】東軍・細川勝元かつもと政元まさもとの父) vs 西軍・山名やまな宗全そうぜん新田にった系なので準一門扱い)
【途中参戦して東軍の勝利をひっくり返したジョーカー】西軍・大内政弘おおうちまさひろ(中国九州六ヶ国の守護)
【全てを裏で操る真のフィクサー】義政の妻 日野富子ひのとみこ

📑このように、拙著「流れぬ彗星」は、「応仁の乱」の主要キャストの子どもたちの世代が、活躍する話だと言えます。
 上のメンバーの中で、「流れぬ彗星」スタート時点でぎりぎり存命しているのは、政長と大内政弘、日野富子の三人しかいません。

🔖「応仁の乱」のあとはどうなったの?
 戦いそのものは、山名宗全と細川勝元の相次ぐ病死によって、なし崩し的に終結しました。
 はっきりとした勝利者もなく、結局のところ義政は将軍のまま、政長は管領のままです。
 その理由としては、
●体制の破壊ではなく、維持を目的とした戦争だったこと
●技術的・経済的革新をほぼ伴わなかったこと
●織田信長、高師直こうのもろなお、細川政元のような破壊的人格が出現しなかったこと(畠山義就は、惜しいところまでいきましたが…)
 が挙げられるかと思います。
 畠山義就は河内かわち、大内政弘は周防すおう、足利義視は美濃みのへ下り、それぞれの地域で支配を固めます。
「勝利も敗北もないまま孤独なレースは続いてく」と歌われる(?)ゆえんです。

📑さて「流れぬ彗星」が始まるのは、明応二(1493)年のことです!
 冒頭の、次郎の父畠山政長が正覚寺城しょうがくじじょうで切腹する場面は、明応めいおう政変せいへんという事件の余波になります。
「戦国時代の真の幕開け」とも言われる一大変事でした。
 その前段階として、作中でも描きましたように、結局は将軍家を義視の子・義材が継ぐという、「あの戦いって結局何のためだったの?」という流れがありました。
 それに反対したのが、畿内の最大勢力・細川京兆家けいちょうけのあとを継いだ政元だったのですね。
(ちなみに、右京大夫うきょうのだいぶという官職を代々継承していたので、中国風にカッコよく、右京兆うけいちょうとか京兆家とか言っています)
 その後も、事あるごとに義材の政策に反対しまくる政元。
 二人がぶつかるのは時間の問題でしたが、常識というものを持ち合わせない変人(褒め言葉です)の政元が、一手先に、恐ろしく断固とした行動に出ました。
 それが、足利一門の権力のみなもとであるはずの将軍を、自らの手で襲って廃位する、という掟破りのクーデター=「明応の政変」だったのです。

🔖「明応の政変」とは?
 管領畠山政長としては、にっくき義就の一族を何とか滅ぼして、領国の河内を取り戻したかった。
 そこで血気盛んな若将軍・義材が即位したのをチャンスととらえ、これに願い出て河内親征を実現します。
 ところが、近江おうみ六角ろっかく征伐に駆り出されたばかりだった守護たちは、内心イヤイヤ参陣していました。
 そこにつけ込んだのが、京の留守を命じられていた細川政元です。
 討伐対象である河内畠山氏と密約を交わし、ゴッドマザー日野富子の了解を得ると、お寺に入っていたちっちゃい子を引っぱり出してきて、無理やり将軍に据えました(のちの足利義澄よしずみ)。
 そうして京の義材ゆかりの寺院、近臣の邸宅などを襲い、略奪・放火・破壊してしまいます。
 さらには京兆家の軍勢を発し、南北から義材を挟撃しました。
 前もって有力守護の赤松氏に姉をめあわせて取り込んだり、大内氏の娘を誘拐して足止めしたりと、いちいち手が込んでいます。
 味方が次々に離脱し、正覚寺城に孤立した義材と政長。
 もちろん嫡子の次郎も、その現場にいました。
 そんな絶体絶命の場面から、この小説「流れぬ彗星」は始まります。

📑ちなみにこの作品、実はもう最後まで書き上がっています。
 次郎と義材は一体どのような人生を歩み、どのような結末を迎えるのか。
 それ以前に、遠く離れて戦い続ける二人に、果たして再会する日はやってくるのか。
 いつかみなさまと共有できる日が来たら、きっと幸せだろうと思います。

🔖できるだけ短く、と言いながら、本編のような長さになってしまいました……
 ( *´艸`)テヘペロ
 またみなさまにこの小説を見ていただけたら、これに勝る喜びはありません。
 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!!
                              大純はる

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