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シリーズ かくれ念仏

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2023年11月の記事一覧

【連載】かくれ念仏/No.17~知覧の佐多兵右衛門 — 念仏の聞こえる杉林 —~

【連載】かくれ念仏/No.17~知覧の佐多兵右衛門 — 念仏の聞こえる杉林 —~

●知覧の佐多兵右衛門 — 念仏の聞こえる杉林 —

知覧に佐多兵右衛門という念仏者がいた。
真宗信仰の嫌疑で捕らえられ、役人が「絵像はどこにある」と迫るも、本尊の隠し場所を白状せず、53日に亘って棒で打擲され全身不随になった。

その後、兵右衛門を救うため、親族が偽絵を差し出して許された。(偽絵は頴娃の浦芝原出身で、日向の福島に逃散していた荒嶽史郎兵衛が描いた)

時は流れて15年後、上方から布教

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【連載】かくれ念仏/No.16~真宗信仰の奇跡~

【連載】かくれ念仏/No.16~真宗信仰の奇跡~

●真宗信仰の奇跡
垂水の柊原には、「ドンデン仏」という谷があり、昔の人が隠れて真宗の法座を営んだという伝承があるが、この谷から身を投げても阿弥陀仏の加護で死にはしないという伝承もある。これは民間の中で信仰にまつわる事象が奇瑞化していったものと思われる。

本願寺の親鸞伝にも数々の着色があるのだが、地方にいくと、親鸞のカリスマ化や神格化、真宗の魔術化や秘教化によって、親鸞の念仏によって死んだ魚が泳ぎ

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【連載】かくれ念仏/No.15~真宗の田植え歌~

【連載】かくれ念仏/No.15~真宗の田植え歌~

常陸国那珂西郡大部郷(現在の茨城県水戸市飯富町)に伝わる、親鸞聖人がつくったとされる「お田植え歌」は有名である。

鹿児島にも似たような歌がある。
『愛蔵版 県別ふるさと童話館㊻ 鹿児島の童話』(リブリオ出版/日本児童文学者協会 編)という本には、「かくれ念仏の里」(山下町子)と題された話が収録されており、その話によると、現在の鹿児島県湧水町栗野にも真宗由来のお田植え歌があって、真宗禁制下ながら代

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【連載】かくれ念仏/No.14~鹿児島の真宗民語その6~

【連載】かくれ念仏/No.14~鹿児島の真宗民語その6~

講頭・番役
講頭(こうがしら)は講の代表者。「本尊持ち」や「法頭人」とも言い、方言では「講頭殿(こずどん)」とも言う。一組に二、三人の講頭がいた。
番役(ばんやく)は各地の御座の世話役。
薩摩の講は数個ないし数十個の小寄講が集まって一つの講を組成している例が多い。小寄講は数戸ないし十数戸の講員で構成されている。

御順在
本願寺門主の消息が各地の講を順にまわって、披露して廻ること。講の本尊が小寄講

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