少ない方がより豊かである! あおひと君の週間アート情報 7/22~7/28 展覧会レビュー「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展

アートを愛するみなさま!お元気ですか!

今週は、東京駅丸の内駅舎内にある東京ステーションギャラリーで、7月13日から9月23日まで開催されている「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展をご紹介します。

赤れんがの外装が特徴的な東京駅舎は、1914年(大正3年)辰野金吾の設計によって建てられました。2003年には国の重要文化財に指定されています。東京駅の一角に建てられた東京ステーションギャラリーは、1988年にオープン。丸い駅舎の東京駅北口の改札口の横がエントランスの駅近美術館です。

エントランスは1階で、展示スペースは、2階、3階です。館内は赤れんがの壁や当時の内装も残っていて、歴史を感じさせ、落ち着いた雰囲気が心地よい美術館になっています。

今回は、ベルギーを代表するアーティスト、ジャン=ミッシェル・フォロンの作品展です。タイトルの「空想旅行案内人」とは、実際に、フォロンが使っていた名刺の肩書きからつけたそうです。

そのタイトルが示すように、フォロンは旅行好きで世界を旅しています。日本にも1970年、1985年、に3度ほど来ています。1995年には京都で阪神淡路大震災にも遭遇してしまいました。でもフォロンは日本が大好きでした。

フォロンの作品の特徴は、なんといっても、その幻想的な色合いとシンプルさではないでしょうか。学生時代、美術の授業で建築家ミース・ファン・デル・ローエの「少ない方がより豊かである(Less is more)」という言葉に感銘を受け、線画に専念します。

また、建築を学んでいましたがあまり興味を持てず、画家を志し、21歳の時、パリ近郊に移住。そこでずっと線画を描き続けて雑誌にイラストを描いて糊口をしのぎます。

60年代になるとアメリカの有名雑誌に作品を送ると採用され、成功への道が開き始めました。61年、アーティストのコレット・ポルタルと結婚、彼女のアドバイスもあって水彩画、インクなどを色を使うようになり、イタリアのタイプライターメーカーオリベッティ社のアートディレクターに気に入られ、ポスターなどを手掛け、さらに世界へ羽ばたいていくのです。

フォロンは、幼い頃、同じベルギーの巨匠、ルネ・マグリットの絵を偶然見て、大きな感銘を受けます。「絵はなんでもできるんだ。謎を生み出すことだって」と。フォロンの作品にひんぱんに登場する矢印、旅行カバン、帽子を被った人物、めがね、鳥、クエスチョンマーク。それらはフォロンの好きな旅につながり、一方で見る側を、謎という乗り物で奥深い、空想の旅へも引き込むのです。
また、フォロンは、より多くの人の目に触れるよう挿絵やポスターなどに積極的に作品を提供しています。環境破壊、戦争、差別などにも敏感に反応し、メッセージを絵に託して発信しています。

知ってはいるけど読もうとは思わない世界人権宣言の書籍に挿絵を提供し普及に努めたり、ナチスを風刺画で描いたり、環境破壊に警鐘を鳴らしたりしました。しかし、それらは決して上から目線の押し付けがましさはなく、美しい色彩とシンプルなイメージで、警戒心の壁を簡単にすり抜けて、見る者の心を掴んでしまうのです。

フォロンは、2005年、享年71歳で旅行かばんに思い出をたくさん詰め込んで次の空想の世界へ旅立って行きました。

フォロンの愛した旅は、世界が平和でないと享受できません。また旅することは自由がないとできません。

きっとフォロンはそのことを私たちに伝えたかったに違いありません。今、世界はとても不穏な状態です。今こそ多くの人たちにフォロンの気持ちが伝わればいいと心から感じた素晴らしい展覧会でした。

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展覧会レビュー
7月13日~9月23日 「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展 東京ステーションギャラリー(千代田区丸の内)
https://tokyo-live-exhibits.com/pum_tkchy_tokyostationgallery/

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-----展覧会情報7/22-7/28

7月22日(月)~8月24日(土) 2024 JAGDA 亀倉雄策賞・新人賞展 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(中央区銀座)
https://tokyo-live-exhibits.com/pug_tkchu_ginzagraphicgallery/

7月25日(火)~8月4日(日) Stargazer & Lucid Dream SAI(渋谷 MIYASHITA PARK)
https://tokyo-live-exhibits.com/pug_tksh_sai/

7月26日(金)~11月4日(月・振) 舟越桂 森へ行く日 彫刻の森美術館(足柄下郡箱根町)
https://tokyo-live-exhibits.com/pum_knhkn_hakoneopen-airmuseum/

7月27日(土)~9月23日(月・休) 特別展「街に写真館があったころ~常盤台写真場と昭和モダン~」 江戸東京たてもの園(東京都小金井市)
https://tokyo-live-exhibits.com/pum_tkkgn_edotokyotatemonoen/

7⽉27⽇(⼟)~ 8⽉18⽇(⽇) 中⽥有美 個展『Empty View』 WISH LESS gallery(北区⽥端)
https://tokyo-live-exhibits.com/pug_tkkt_wishlessgallery/

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Amir Marcus, Stephan Fischer

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