すごいぞ!茶の湯。総合芸術の極み。 あおひと君の週間アート情報 3/3~3/9

今週は、港区南青山にある根津美術館をご紹介します。2月22日、土曜から、3月30日、日曜まで開催される、特別展「武家の正統 片桐石州の茶」を見てきました。

茶の湯に詳しい方は、石州をご存知かもしれませんが、私にとっては初めて聞く名前でした。茶道は、ティーセレモニーとして世界に知られた日本の文化です。

お茶は、平安時代、中国から日本に伝わり、献茶など仏教的儀式だったのが、室町時代、茶の湯(茶道)として独自の道を歩み始めます。村田珠光が「侘び茶」の基礎を築き、武野紹鴎がそれを発展させました。そして、千利休が「侘び寂び」を持って芸術的な境地に高めました。

茶の湯は、そもそも個人的な楽しみのはずでしたが、政治と深く関わったことが注目されます。織田信長、豊臣秀吉、徳川家が茶の湯を愛好していました。千利休は、それが高じて、秀吉に切腹を命ぜられるのですから、茶の湯恐るべし!

そんな武士の必須科目の一つだった茶の湯。片桐石州は、武家を中心に広まった茶道・石州流の祖にあたります。

片桐石州は、1583年生まれ。京都知恩院などの普請奉行、今で言う現場監督を務めます。一方、千利休の実子である千道安(せん どうあん)から茶の湯を学んだ桑山宗仙(くわやま そうせん)に師事します。なので利休流の侘び茶を基としていました。

家督を継いで、大和小泉藩(現在の奈良県大和郡山市)の藩主となります。かたや茶人として、四代将軍家綱に茶会を所望され、石州は一躍、その名を轟かせます。

その後、徳川家の茶道師範を務め、古田織部、小堀遠州に続いて、武家茶道の地位を確立し、水戸光圀侯や、大老井伊直弼にも教えることになります。ちなみに利休が言ったとされる「一期一会」という言葉は、井伊直弼が書いた著書『茶湯一会集』に使ったことから広まったそうです。

今回の展覧会では、石州にまつわる茶道具、茶入れ、茶杓、書、文献、花入など貴重な品々を展覧。当時、茶入れは、茶人にとって茶碗よりも重要な道具だった言われています。

当時の茶人たちは、陶磁器の茶入れ、それを包む仕覆(しふく)、牙蓋(げぶた)など細部に至るまでこだわりをみせ、道具の美を競っていたようです。なので、今回、茶碗は一つもありませんでした。なんとも茶の湯の世界は奥深いですね。

ちなみに江戸時代になると、三代将軍家光が参勤交代を制度化しました。そして江戸に来た各大名たちは、将軍に拝謁しなければなりませんでした。それも江戸城に登城し、表玄関から城から出て行くまで、たった一人で行かなくてはなりませんでした。大名にとって、それはとても緊張したに違いありません。もし粗相などがあったら最悪、切腹です!(推測です)

しかしサポート体制がありました。それが、江戸城坊主衆という人たちのエスコートです。彼らは作法の指導、案内係、その他の世話係みたいな仕事でしょうか。

またその坊主衆たちのなかに、茶の湯を専門とする数寄屋坊主というグループがありました。そこには石州派が大勢いたそうです。彼らは、茶の湯の先生以外にも茶道具の見立てや管理、修繕などを行なっていたそうです。

そんな茶の湯は、現代アートに例えると、空間、道具、作法(パフォーマンス)、書、花、食などを盛り込んだ総合芸術の極みだと感じてしまいました。

すごいぞ、茶の湯!現代アートばかり見ていて、たまにはこういう日本の伝統美に触れるのは、いいですね!違う角度からアートを学んだような気がします。

根津美術館の創設者は、戦前、政財界で活躍した、東武電鉄はじめ数々の鉄道事業に関わり、鉄道王とも呼ばれた根津嘉一郎氏。根津美術館は、私邸跡地に建設されました。そこに納められている根津嘉一郎と二代目がコレクションした日本・東洋の古美術の質の高さは有名です。現在の美術館は、隈研吾氏の設計で2009年にリニューアルオープンしました。

最後にもう一つ。展覧会も良かったのですが、それをも凌駕する感動を与えてくれたのが庭園です!

世界でも有数のおしゃれスポット表参道から、一瞬、パラレルワールドに紛れ込んだかのような、静寂と景観に驚かされました。池があり緑に包まれ、街の喧騒もほとんど届かず、素晴らしい空間が広がっていました。ぜひ同展覧会と、この異次元空間の庭園を味わってみてください!

さて、そんな異次元スポット根津美術館を後にして、国道246へ歩いていくと、表参道交差点にも現代アートがありました。以前、スーパーアズマのあった一角は、再開発らしく姿形もありません。一時的にOMOTESANDO CROSSING PARKという場所に様変わりして、「Made in 青森 −自然と歴史の交差点」という展覧会をやっていました。(2月24日まで)

2月22日~3月30日 特別展「武家の正統 片桐石州の茶」 根津美術館(港区南青山)
https://tokyo-live-exhibits.com/pum_tkmnt_nezumuseum/

1月24日~2月24日 Made in 青森 −自然と歴史の交差点 OMOTESANDO CROSSING PARK(港区南青山)
https://tokyo-live-exhibits.com/event_tksh_omotesandocrossingpark/

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