『騙されるな』

『ビートたけし詩集 僕は馬鹿になった。』を読んでいる。

気に入った詩を引用しよう。

騙されるな

人は何か一つくらい誇れるもの持っている
何でもいい、それを見つけなさい
勉強が駄目だったら、運動がある
両方駄目だったら、君には優しさがある
夢をもて、目的をもて、やれば出来る
こんな言葉に騙されるな、何も無くていいんだ
人は生まれて、生きて、死ぬ
これだけでたいしたもんだ

ビートたけし詩集 僕は馬鹿になった。『騙されるな』

「人は何か一つくらい誇れるものをもっている」ときて、「夢をもて、目的をもて、やれば出来る」と希望のある詩かと思いきや、「こんな言葉に騙されるな」とどんでん返しを食らう。

ビートたけしさんは言う。「何も無くていいんだ」「人は生まれて、生きて、死ぬ これだけでたいしたもんだ」

ビートたけしさんはかなりのリアリストで本を読んだり、映画を観てもそれが分かる。

「誇れるものや夢や目的、やりたいことがあるやつなんて一握り」といっている。

僕もそう思う。何かこういうのをもっていないといけないと思うふしがあるが、それは一握りの人しかもっていないんだろう。大半の人は凡人なんだ。

大半の人は、適当に働いて、適当に遊んで、適当に結婚して、適当に子供をつくって、適当に生活して死んでいくんだ。それでいいじゃないか。

「人は生まれて、生きて、死ぬ これだけでたいしたもんだ」という言葉ほどの肯定はない。明石家さんまさんの「生きているだけで丸儲け」に似ているところがある。もっとも、存在を肯定している言葉だと思う。

僕は鬱状態にあるのだが、もう生きているだけで充分だと思っている。鬱の人にもっとも効く言葉は、このような存在を肯定する言葉だと思う。

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