授業スキル
教員向けに公民科の授業実践を書いています。
授業にはスキルが必要だ。基本は話し方と思われるが、アナウンサーのようなスキルが求められているわけではない。話し方というより、伝え方や指示の出し方というのがいい。
スペア、予備、バックアップ、補完
一つの方法で多くの生徒たちに伝わると思わない。優れた伝え方であれば、一つの方法で全員に指示が伝えられるとは、考えない。優れた伝え方を目指しているが、一つにはしない。
教科書の指定したページを開かせる。ページ番号は、授業のはじめに口頭で言った。ところが授業途中で、「何ページですか?」と質問される。
教員はさっき言ったのに聞いていなかったことを咎めたり、前回の続きだからわかるだろうと言う。授業に集中できていない生徒に非があると考えるなら、授業スキルや授業力は身につかない。
一度しか言わなかったら、聞き逃すことはある。
授業準備をして、前回を振り返ってから授業に臨んでいる生徒は少数派だ。
聞き逃すことを前提に話す。最低限のスキルは、繰り返し言うこと、復唱することである。意外とできない。意識していないとできない。目の前には、顔馴染みの生徒がいて、目が合う生徒たちに向かって話しを進めていく。自分で用意してきた段取りや手順がある。教員の方を見ている生徒に向かって話すのは自然なことだ。しっかり聞き取れている生徒を見ながら話すと、繰り返し言うことを怠る。
うつむいて何かをしている。まだ授業準備ができていない。他のことに気を取られている。そういう生徒たちには、届かない。繰り返し言うのも限度がある。繰り返しには少しの待ち時間も必要だ。しかし、繰り返しゼロより、一度でも繰り返して言う方がいい。
取り掛かりが遅い生徒を注意することもできるが、時間がかかる。注意すべき生徒をどう選ぶか、授業中に名指しでの注意は、生徒側には大ごとだ。
ページ番号を板書しておく。配布物に記載しておく。
口頭で伝えて聞き取る以外の方法をもう一つ用意しておく。板書を見ることは、聞くことのようにタイミングが合わなくても、消されるまで見逃すことはない。授業開始直後は集中できていなかった生徒も、少し遅れて教科書を静かに開ける。
もちろん、授業内容によっては少しの遅れも許されない場合もあるかもしれないが、生徒は隣の席の誰かに尋ねなくても教科書を開ける。
あえてテストをちらつかせる。
ここにマーカーで線を引いたり、しておこう。
テスト前に復習で読む印を付けておこう。
絵や写真の話しをする。人物の場合、顔や肖像画の掲載されているページを見ながら、エピソードを紹介する。変な顔と言うと見たくなる。
わかりやすい指示だけでは、授業に参加する姿勢を引き出せない。生徒には、聞き逃しや見逃しという失敗をさせないだけでは不十分だ。しかし失敗をする可能性はあると思い、防ごうとすることが大事だ。生徒側の自己責任論を振りかざせば、教員は勝利するが、教員の目標は達成できない。わかりやすいことは最低条件でしかない。
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