転職体験記 シリコンバレーのベンチャー企業に その2 当たり前過ぎて意識しなくなっていること
時は昭和のバブル時代真っ只中。
経緯
シリコンバレーにある高速半導体メモリを開発·製造している会社に転職となったのです。
形式的には鉄鋼会社の米国駐在員で、鉄鋼会社の社員としての給与を貰い、その米国ベンチャーの社員としても給与を貰い、日米の年金保険料はダブルで払い、税金は日米の給与と駐在員手当(住居費、自動車購入費、交通費など)も含めた全収入に対して米国の税金を支払うという形でした。 渡米に際しては先ずは米国大使館でのビザの取得。形式的に半導体技術開発のエンジニアという建付けでの渡米でしたので、取得したビザは、H-1B。ビザ取得に際しての大使館での面接、その後の手続きとそれなりに面倒でした。
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今回はその続きです。
特に転職が決まっての…
渡航前の明るく楽しいひと時が伝われば…
(細かいことは忘れてあっけらかんと明るい時代を楽しんで…)
国内での残る残務は渡航前の社宅引き払いに伴う引っ越しでした。基本的に米国ではFurnished(家具付き)のアパートに住む前提での渡航準備、現地手当の建付けでしたので衣類や最低限の食器等を除き、家具、家電製品等は低温倉庫に預けるという手配でした。自動車を持っていこうとしたのですが、赴任が決まった最初の説明会で個人的に輸出するのは自由だけれど現実的には不可能(極めて困難)ということだったので断念しました。既に日本海側にある秘密工場に転勤になった時に2回目の引っ越しを経験していましたので大分引っ越し慣れしていました。しかも会社が手配した日通の海外便の引っ越しはとても良く、今のところ既に10回以上引っ越しをしていますが、最高のレベルだったと感じています。
米国では通勤用自動車購入費の補助として確か20000ドルと家族用に10000ドルが支給され、その後も手当として自動車用の手当がでる建付けでした。
当時レクサスLS400が30000ドル。リンカーンタウンカーが35000ドル。キャデラック・ブロアムが26000ドルという感じでした。
アメリカに住むなら不人気だけどアメリカ車の最高級車にも乗ってみたいなあ…
でも日本では売っていない初代レクサスも良いなぁ…
閑話
折角なので、車好きの私が渡航前に楽しんだ話題を…
当時はトヨタのクレスタに乗っていました。当時、トヨタが初めてのレクサスを米国に投入したタイミングでレクサスのLS400というセダンが発売されたばかりでした。その開発には、供給する鋼板開発等に解析担当として関わった事もありそのずば抜けた品質は良く理解していました。一般的に自動車は10年程度の使用を前提にしていましたが、それを取っ払った品質が魅力的でした。カーグラフィック等の雑誌や、日本へ輸入されている車のガイドブックなどを買って車選びを楽しみました。クレスタでお世話になっている販売店さんに、もしレクサスを購入して日本に輸入することになったら面倒見て貰えると確認も取りました。
子供の頃に外資系石油精製会社の秘書室長だった父が、いつもは電車で行く築地の江戸銀という父行きつけのお寿司屋さんに行くのにフルサイズのアメリカ車、マーキュリーのハイヤーを手配してくれた事が有ります。2週間に1度位、家族の夜のディナーを設定してくれていたのです。普段は当然電車。なのでその広大で静かな、柔らかめのサスペンションには感動しました。隔週で母方の祖父母の家に行き、祖父は毎日曜日にゴルフに出掛けていて、たまたまその社用車の運転手さんが自宅の少し先に住んでいて帰りの空車に乗せて貰って居ました。その車がセドリックのブロアムで、その広さと静けさは知っていましたが、マーキュリーはそれを遥かに超えていました。
驚きと感動
それでフォード車とブロアムという名前が小学生の私の頭には憧れの対象として刻まれて居ました。
その20年後に米国駐在できるとは当たり前ですが、その当時は思ってもいませんでした。
そしてその時を迎えて、愛読雑誌のカーグラフィックに載っていたマーキュリーよりも上の車格のリンカーンコンチネンタルの流麗なデザインが気に入って居ました。
早速、その輸入元のショールームに行きました。まぁラフな格好で訪問したもの良くなかったのかも知れませんが…
先ずは今はクレスタに乗っていて、リンカーンコンチネンタルに憧れていると言い、展示してある実車を見ました。米国のフルサイズの大きさと、古典的なフルサイズよりはダウンサイジングされたものの、当時初めて採用されたFFのエンジンでより室内は寧ろ広くなっているとの説明を受けました。
が、君にはこの車は買えないオーラが出ていて少し不愉快。事実専ら法人需要だったので仕方ないし、冷やかしに見えたのだと思います。そしてトドメの1言…
「知らないかも知れませんが(軽蔑的な感じで)、リンカーンタウンカーという車が有ってそちらの方が遥かに高級なんですよ。」
(そんなのも知らないの?という感じでした…)
極めて高級感あるショールームでの屈辱的な1言。
しかもカタログも手渡すことを遠慮されて手ぶらで帰宅したのでした。
因みにリンカーンタウンカーは別の輸入業者が扱っていて、
体良く追い返されたのでした。
当然、自動車雑誌などでリンカーンタウンカーを調べたところ、英国のロールスロイスのデザインを手掛ける方がデザインに参画し流麗なデザインと車格。米国自動車会社を脅かす仕上がりのレクサスのLS400を徹底的に研究し尽くして、品質向上、新型エンジンまで用意した、しかもオーソドックスなFR車と一目惚れしました。
ある意味でコンチネンタルのショールームの方のお陰での出会い。
禍福は糾える縄の如し…
当然、日本の輸入元に行き、営業の方とお話ししたところこちらは真逆の反応。米国で購入して輸入したら喜んて面倒を見てくれるとのお話を頂きました。
運と勘としつこさの人生
をここでも発揮。
とまぁこんな感じで米国駐在準備を楽しみ尽くして居ました。
閑話休題。
つづく