キスマイの藤ヶ谷君が隣にいたはずなのに、目が覚めたら、横にいたのは息子だった
まだ6月だというのに、もう梅雨明け。
今年の夏も、暑くなりそうだ。
私は毎晩、息子5歳と娘1歳の間に挟まれて寝ている。
幼児ふたりの熱気といったら、もう、ひどい。
1歳の娘はまだいい。ベビーベッドで寝る習慣をつけたせいか、ゴロゴロ転がりはするが、自分の布団に収まってくれている。
問題は、5歳の息子。こちらは赤ちゃんの時から添い寝していたせいか、私が横にいないと眠れないらしく、いつもぴったりくっついてくる。
これがまた暑い。私の身体に乗せられる、手も、足も暑い。
そんな暑い体でぴったりくっついてくれるな、と思う。
「すぅ~すぅ~」
やっと寝静まったか、と思って子どもら頭に手をやると
「うぇぇえええ!なにこれ!お風呂でも入ってきたんか?」というくらいびしょ濡れになっている。
子どもってなんでこんなに汗かくんやろ?と思う。
子どもたちが寝たのを確認して(確認できずに寝落ちすることもあるが)、私もウトウトと眠りにつく。
*
それはとっても良い夢だった。
なんでかって、私の横にキスマイの藤ヶ谷君が横に寝ていて、ピロートークをしてくれていたから。
キスマイ。私が望んでファンになったわけではなく、会社の先輩がキスマイ推しで、
「星野さん!これ!キスマイのデビュー曲!聞いてみて!」
「星野さん!これ!キスマイのライブDVD!見てみて!」
と、次から次へとキスマイ関連のCDだのDVDだのを貸してくれた。
私も断るに断れず、なんとなくCDを聞いたりDVDを見たりしているうちに、「キスマイって頑張ってるんだな、いいな」と思うようになった。
「星野さん!これ!玉森くんの舞台のチケット!取れたんで一緒に見に行きませんか?」
ついに、玉森君と千賀君、宮田君が出演する舞台まで見に行ってしまうようになった。
あれからもう9年の月日が流れた。
私は結婚し、子どもも産まれ、キスマイを聞いたり見たりする時間がとれなくなった。
けれど、ときどきテレビに映る彼らを見ては「頑張ってるな~」と思っている。
話が逸れた。
*
夢の中で、キスマイの藤ヶ谷君が、私の手を握ってなにか話してくれている。夢のような時間だった。
藤ヶ谷君の手って、こんなに熱いんだ。
藤ヶ谷君の手って、こんなに小さいんだ。
そこでハッと目が覚めた。
私の隣で眠っているのは、藤ヶ谷君ではなくて息子だった。
私が握っていた手は、藤ヶ谷君の手ではなくて息子の手だった。
せっかく、いい夢を見ていたのに・・・と思う。
「汗、かいてないかな?」と息子の頭に手をやると、さらさらとした髪の毛に触れた。
柔らかな息子の髪の毛。
これもこれでまた、いいのかなぁと思った。
反対側を見やると、娘はうつ伏せで「行き倒れた」ように眠っている。
娘の頭にも手をやる。娘の髪は薄い。私の子どもの頃そっくりだ。
ふわふわした娘の髪の毛を触る。
ゆっくりおやすみ、と心の中で話しかけた。
さぁ、もう一回寝よう。
今から寝たら、また、さっきの夢の続きが見れるかもしれない。