8月に読んだ本まとめ②「風立ちぬから宮崎駿。休憩もはさみつつ……」
まとめ①の続きです。こちらには比較的ゆるめの本を。
11. 「風の帰る場所」宮崎 駿
金ローで「風立ちぬ」を放送していたので今更だが初視聴。もともとジブリを糧に生きてきたようなそんな信者だったけれど、千と千尋以降自分の中で少しずつ下火となり、今日に至っていた。
そうしてよく考えてみれば、わたしは宮崎駿から多大な影響を受けていたにもかかわらず、彼の本をひとつも読んでなかったことに気づいた。
グウィンにしろエンデにしろ、気になる作家の創作論が書かれたエッセイ、インタビュー集は、どれも面白く糧になる。
しかしいざ読んでみると、彼らの作品作りは利益を追求せねばならない組織単位のものなので、正直期待外れだった。
宮崎駿本人の思想の原点が知りたいのだ。「構想ノート」の方がいいかもしれない。
そういえばグウィンの新しい本が出たらしい!買わねば!
12.「本へのとびら」宮崎 駿
こちらも上記と同様の経緯で購入したが、「岩波少年文庫の紹介」ということで内容に非常に偏りがあった上に、紹介されているものも極めてベーシックなものばかりだった。
とりあえずサトクリフの本は読んでみようと思う。
13. 「山本五十六」半藤一利
①で紹介した「失敗の本質」で、彼の存在があまり語られていなかったので、この本を読んでみた。
著者は「日本のいちばん長い日」や「昭和史」で知られる半藤氏。今年亡くなられたそうで、書店にコーナーが設けられていたことも手に取った理由の一つ。
なぜ「山本五十六」に興味があったかというと、数少ない同郷の著名人であり、「失敗の本質」であまり取り上げられていなかったからである。
しかしその理由はこの本を読むと納得する。あの本のタイトルは「失敗の本質」なのだ。山本五十六は彼らとは異なる存在だったことがよくわかる。
おもに第二次世界大戦に焦点をあてて書かれているため、個人的にもっと彼の経歴について知りたいという気持ちが芽生えた。とりあえずコロナが落ち着いたら山本五十六記念館にでも出向こうかと思う。
14.「科学はどこまでいくのか」池田 清彦
高校時代のあれやこれを整理していたときに見つけた本。
当時わたしは付箋をしおり代わりに使っていたので、本のちょうど真ん中あたりに残っていた付箋を見つけ、当時この本を読み終われなかったことに気づいたのがはじまり。
内容は正直あまり面白くなかった。科学の発展を憂えた本であるが、いろいろなジャンルについて語りすぎで、ぼやぼやしている。時々物理の話(超弦理論や素粒子)が出てくるので、当時履修していなかったわたしは理解できずにあきらめたのだろう。
どちらかというと本の内容よりも、自分の進歩に気づけたことが大きかった。ときに昔の本を読み直すことも、新たな発見があっていいのかもしれない。
15.「ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義」マイケル・ピュエット
老子、孔子、孟子と浅く広くなので読まなくてもいいと思ったが、西洋思想からの視点で語られるので、そこは新鮮に感じた。
とりあえず私たち東洋思想の人間は、紹介された本そのものを読めばいいと思う。
16.「すみれ荘ファミリア」凪良ゆう
息抜き用に選んだ小説。
この人の書く、人々が日常の裏で秘密を隠しあって生きているようすがなぜか心地よい。「神さまのビオトープ」も面白かったのでおすすめ。
17.「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレイディみかこ
書店で平積みになっていたので思わず手に取ってみた。
この本で描かれているのは、イギリスの田舎町の中学生の日常である。しかし現代社会に広がる暗い闇を反映していて、まさにわたしたちが抱える問題の縮図であるのだ。
しかしそこで一生懸命に生きる子どもたちは、そんな大人たちが頭を抱えてしまうような問題に適応し、乗り越えようとする。まるで読者は生物の進化を目の当たりにしているようで、温かく希望に満ちた気持ちになれる。2巻が出るらしい。こちらも読みたい。
18.「空白の意匠」松本清張
19.「共犯者」松本清張
ある時松本清張の波がやってきて、古本屋で目に止まった光文社文庫の松本清張短編全集全11巻を、大人買いしたのが始まり。
これはその最後の二冊。彼の作品は様々な面白さがあって飽きない。定番の男女のいざこざに加え、新聞社や絵画に関するものなど幅広くて私には新鮮だった。
以上8月は19冊。
創作活動に勤しんでいたこともあり冊数は少ないが、こうしてまとめてみると内容が濃い気がする。
9月もインプットとアウトプットのバランスに気をつけ、様々な本を読んで行きたい。