春のような温かさがいつもある学校に… できない そうではなくて苦手なんだよ 〜心の宝物353
🌷半袖 半ズボン
コロナ機の学校
3月に入ったばかりの午後、1年生の廊下では、子どもたちが今日も元気に掃除に取り組んでいます。
2階は2年生のフロアですが、そこへ上がる階段の掃除は、1年生に割り当てられていました。
彼の姿に目をひかれました。
3月に入り、少しは緩んだものの、窓を開け放った階段には、まだまだ冷気が固まっています。しかし、半袖、半ズボンの彼は少しも寒そうではありません。むしろ顔を真っ赤にして、少し汗ばむほど、懸命に階段を磨いています。
🌷しないのでもできないのでもない ただ苦手なだけなんだ
一つの段に膝をついて、そこを全力で水拭きし、終えるとその下の段へ。1年生の中でも、小柄な彼が取り組んでいるのを見ると、たった一段の階段もとても広く見えます。まだ小さな手で、二つに畳んだ雑巾を押さえ、ごしごしと断面を拭いていきます。その姿は、少しも緩みません。
遊びであっても、学習その他の活動であっても、興味をもった対象には、素晴らしい集中力と問題解決力を発揮します。反面、興味がわかないと全く取り組まない。彼にはそんな一面がありました。
担任の先生には、そんな彼を追いすぎないようにお願いしました。誤解を恐れずに言えば、困ったら放っておいていいとお伝えしました。
追えば追うほど、彼にも周囲の子どもたちにも「彼はすべきことをきちんとできない」「彼はわがままで気が向かないとしない」というラベルを貼ってしまうことになります。それは分断の思考であり、彼も、その周囲の人も、決して幸せにしません。
そうなる前に、「みんなと同じようにすることが少しだけ苦手なんだ」「そこに気持ちが向いたときに発揮する力はすごいんだ」という共感的な見方を、先生と、彼と、保護者と、学級の子と共有してくださるようお願いしました。
担任の先生の尽力で、彼の特性もまた一人の個性として、学級に位置づきました。お互いのちがいを共感的に受け止める思考が、子どもたちの中に育っていきました。
春のような温かさの中で、彼は伸びやかに自分を発揮し、この日の掃除のように、集中力を発揮する場面が、少しずつ増えていきました。
君の君らしさはとても大切だ。
人はみんなちがうことを、そのちがいが大切にされるとき、安心が生まれることを、安心が生まれたときに、苦手に挑戦し、少しずつ乗り越えられることを、君は姿で示してくれた。
君は君のままで大丈夫だよ。
自分らしくあることの大切さを、日々伝えてくれる君を、心から誇りに思う。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで