24日目:山のこんにゃくは、こうして作られる
1月30日土曜日。
土曜日と言えば…そう、毎月恒例の土曜教育事業の日です。
ただ、まあ、この時期なのでやるかどうかはだいぶ迷ったそう。
学校側はどうなのか、大人数で昼を食べるのは厳しいがそこはどうするか…
などなど、いろいろ考え、やめようかとも思ったけれども、話をし合った結果、今回も開催に踏み切ることに。学校側も県内いうことで来ていただけました。
そりゃあ、もちろん開催したいし、できるのは嬉しいのだけど、何かあったら…ということはいつも頭をよぎるもの。
今回も感染症対策はきちんとして行いました。
今日は、こんにゃくづくり体験をやります。
それも昔ながらの方法で。さあ、どんな手順で出来上がっていくのでしょうか。
本日の講師は西条自然学校の皆さんです。
材料のメインはこちら、こんにゃく芋。
たくさんの根で覆われた黒い塊…。
これがこんにゃくになるのかあ。想像できん。
解説によれば、こんにゃく芋はサトイモ科で東南アジアが原産とのこと。
実は、この大きさのこんにゃくにするには、4,5年かかるのだそう。
最初の年に採れるこんにゃく芋はまだだいぶ小さいため、それをまた埋めて一年を過ごし、翌年少し大きくなったこんにゃく芋をまた埋めて一年、そしてまた掘り出したこんにゃく芋を埋めて一年…を繰り返すことで少しずつ大きくしていくんだとか。
本当に作付けを始める最初のときは種芋が必要になりますが、この方法で栽培を続けているようです。
農作物は長い目で育てて行かないといけないのですな。
まず、この芋を数時間茹で、柔らかくしておきます。
この作業は時間がかかるため、開始前に自然学校の方でやっていてくださいました。
茹でた芋の皮を剥いていきます。
指で強めにこするとぺろっと剥けます。黒いところは少し残っていてもよいとのこと。その方がこんにゃく特有の黒っぽさが出るからだそうです。
次に、芋は細かくしてミキサーにかける準備を。
芋は少なめに、水も芋が全部かぶるくらいまでいれて、すこしなめらかにしていきます。
出来上がるとこんな感じ。
ポテトサラダのポテトみたいな感じです。
これでこんにゃくの生地は完成です。芋と水だけでしたね(笑)
だた、これだけではこんにゃくは固まらないので、ここに凝固剤をいれていきます。その凝固剤を作るのが、こちらの装置。
ビンの上に、底をくり抜いて逆さまに置かれたペットボトルが乗せてあります。
このペットボトルに入っているのは、灰です。
灰は木を燃やしたときに出るもの。その灰です。
え、灰…!?灰をどうこんにゃくに?入れるの?と思っていたけれど、
灰はカルシウムを含んでいます。そこに水を入れると水酸化カルシウムというアルカリ性の水ができます。
こんにゃく芋は主成分がグルコマンナンという糖類で、アルカリ性と熱が加わると固まる性質を持っているのです。
そういうわけで、灰を使って凝固剤が作れるわけです。化学が関係してくるとは…勉強になります。
料理をするため、暖をとるために燃やして自然に出た灰から、こんにゃく芋を作り出すとは、昔の人のものづくりの手法って無駄がない。
灰は基本的にはどの木の灰でも使える。
けれど、ヒノキを燃やして出た灰と、スギを燃やして出た灰ではまた、こんにゃくの味が違うのだそうで、作る方の中には、この木の灰じゃないと使いたくない、などあるそう。
この凝固剤を生地に加えて、今度は手でまぜまぜしていきます。
固まってくるので次第にこってりと重くなってきます。
混ぜる高校生たちの動きも次第にゆっくりになっていって少しきつそうです。
場所を外に移します。
出来上がった生地を講師の方が一個サイズにまとめてくださったものを、参加者みんなで、ひしゃいでいきます。
「ひしゃぐ」というのは西条でよく使われる言い方で、「平たく押しつぶす」ことを言います。
コツを聞くと「いい子いい子してください」とのことだったので、こんにゃくを優しくなでなでするようにしながら丸みを作っていきます。
お隣で、いい子いい子していた高校生の手の中のこんにゃくを見せてもらうと…
おお、艶っていますな。まるっとぷるっとしていて可愛らしいです。
私もやってみよう、ということで、触れると…
おお、すごい柔らかい!そして弾力がある…!
力を入れ過ぎたらどっかにピュッと飛んでいきそう。(笑)
丸めたこちらは熱々の大きなお鍋の中に入れていきます。これできっちり固まったこんにゃくになるわけですね。
あ、熱そう…
みんなの可愛がったこんにゃくたちがお湯に浸かってプカプカと浮いています。
なんとなく温泉を想像しました。(笑)
ここから1時間ほど茹でていくのだそう。
その間、山からお茶を摘んできて加熱し一服したり、高校生と進路について話をしておりました。
そうしてほどなくして出来上がったこんにゃくがこちら。
今回は集まっての食事は無しということで、こんにゃくは全てお持ち帰り用。
しっかりと固まっていますね。まるまるしてます。味が気になる。こんにゃくの味するのかなぁ。
そしてそして実は…
今日で今年度の土曜教育は最後なのです…!悲しい。
というわけで公民館ではこんなものを用意していました。
高校生に袋の中を見せてもらうとパンが入っています。お昼を用意できないために、その代わりのプレゼントです。
今日はパンとこんにゃくでお家でお昼ご飯ですね。
*
今年度の土曜教育、これまで3回ほど記事にしてきました。コロナのこともあり、夏から再開してきましたが、その度にいつも違う景色が見られました。
何より、こんな山奥では、というか普段大人になったら出会うことのない高校生たちと触れ合える機会があることがとても貴重で。
「いつもはできないことができていいなと思っています」「次もまた来ます!」と言ってくれるのが、自分も大保木人の気になり、嬉しいのです。
高校生が来るたびに、大保木の空気、同時に大保木の人たちから出る空気や話題、笑顔が変わるのも好きなのです。彼らにとっても、よい刺激になっているんじゃないかと思います。
来年度の土曜教育はどんな教室になるのかな。
どんな高校生たちと関わり合えるかな。
どんな大保木の人たちの姿が見られるかな。
どんな写真が撮れるかな。
4月以降の土曜教育も、ぜひお楽しみに~
以上、今日の大保木でした!
多分)、誰より土曜教育を楽しみにしている人より