俳句同人「リブラ」(俳句同人誌『天秤』刊行)

同人がそれぞれ自由に俳句についての書き物を投稿していきます。毎週金曜日。 木内縉太 …

俳句同人「リブラ」(俳句同人誌『天秤』刊行)

同人がそれぞれ自由に俳句についての書き物を投稿していきます。毎週金曜日。 木内縉太 塚本櫻𩵋 山本たくみ 内野義悠 髙田祥聖

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天秤創刊号 電子版

俳句同人誌 天秤 創刊号 Libra vol.1

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    • 山本たくみの皆もすなるエッセイを(8) 【金曜日記事】

      すなセイ(今考えた本記事の愛称)をご愛読の皆様にはおなじみかもしれませんが、わたしは社会人アカペラサークルに所属しておりまして趣味でfu-とかwoo-とか歌っています。そもそも社会人アカペラサークルとは何なのかというと、社会人が集まり自由にグループを組んでアカペラを楽しむコミュニティなわけですが、月に1回全体回というのがありサークル員が集まって課題曲を一緒に歌う中で交流を深める場にもなっています。全体会には初めましての見学者や普段なかなか会えないサークル員も参加するため、練習

      • 信濃大町(十句) 木内縉太

        いうれいのはなし稲田を風のすぢ 草の絮オカリナを吹きゐるは死者 悶ゆる蛾 紙にひかりのたたまれて みづうみや桟橋の上も芒四五 青写真この世は色をいたづらに 森ゆかば無数の露が汝を隠す 側にゐて遠しと思ふ花野かな 常吊りの今しは秋の風鈴と 秋蝶の翅みづきゐる赤き部屋 雪なくてこの秋嶺の雪のこと

        • 句集読む考。【金曜日記事】

                            内野義悠  みなさんは句集を読むのはお好きでしょうか?  ぼくは読むのも好きですし、最近では句集を蒐集するのが好き、というコレクター的な要素もかなり大きく、とにかく書店で句集が目に入るととりあえず手元に置いておきたくなってしまいます。  結果として積読本の標高は日々凄まじい速度でその高さを増し、やがて自分の生活領域を確実に侵食していきます。(これは多かれ少なかれ俳人のみなさんは経験しがちなことかとも思います。)  そして先日、いよいよ妻に

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        • 金曜日記事まとめ
          9本
        • 同人の自己紹介&自選十句
          5本

        記事

          塚本櫻𩵋『山の黙』評(第五回蒼海賞)

          いつも俳句同人リブラを応援していただきありがとうございます。 このたび、同人の塚本櫻𩵋(つかもと・おうぎょ)が第五回蒼海賞を受賞しました。 受賞を記念して、「第五回蒼海賞受賞記念 塚本櫻𩵋『山の黙』評」 という冊子を作成しました。 目次  塚本櫻𩵋『山の黙』(30句)  木内縉太‐異界の入口  山本たくみ‐おうぎょ俳句の面白がり方  髙田祥聖‐「山の黙」の歩きかた  内野義悠‐ひとつながりに  塚本櫻𩵋‐跋文 冊子PDF(推奨)はこちら! 以下に全文掲載します。(次

          塚本櫻𩵋『山の黙』評(第五回蒼海賞)

          髙田祥聖の、かたむ句!⑧【金曜日記事】

          褞袍着て人生ゲームでも未婚/北大路翼 YouTubeに、株式会社よそ見が運営している「ゲームさんぽ」というチャンネルがある。様々な分野の専門家と一緒にゲームをプレイして、専門家独自の視点からゲームの世界を楽しもう‼︎という趣旨の動画企画である。 今年の九月下旬に投稿されたゲームさんぽでは、わたしが所属している俳句結社「楽園」の堀田季何主宰がゲストの一人としてゲーム吟行をしている。吟行先は、「Fallout4」というゲーム。核戦争によって荒廃し、放射能によって変異した人間が

          髙田祥聖の、かたむ句!⑧【金曜日記事】

          魚眼レンズ 桜魚調査レポート➀【金曜日記事】

          桜魚の起源をめぐって ところで、「櫻𩵋」という名前の由来について書いておきたいと思う。 およそ五年前、私がはじめて堀本裕樹の『いるか句会』に参加したのが二十歳になりたての十月のことだった。大学で先生の授業を履修していたため、俳句をはじめたのは十九歳の四月ということになるが、わかりやすく十月の辺りを自身の句作原初と思っている。その日はたいへん楽しく、外の句会は大学の授業とはレベルがちがうなと感じた。句会後の飲み会で先生の近くに座らせてもらい、いるかに参加していた蒼海の先輩方に

          魚眼レンズ 桜魚調査レポート➀【金曜日記事】

          山本たくみの皆もすなるエッセイを(7) 【金曜日記事】

          昨日9月19日は何の日かご存じでしょうか? そう、子規忌ですね。 他にも、育休を考える日、遺品整理の日、苗字の日、山本たくみの誕生日なんかもそうらしいですよ。こじつけ的な何かの日って結構好きです。無理ある語呂合わせとかありますよね。ちなみに10月8日は入れ歯の日だそうです。イレブンで11月じゃないんですね。 というわけで一足先に先週末、妻がバースデートラベルを企画してくれました。その時のことを振り返りつつ、俳句もできたらいいなという下心をもって書き始めます。 朝からいい天気

          山本たくみの皆もすなるエッセイを(7) 【金曜日記事】

          ベースボール遠景II(十句) 木内縉太

           負け試合。 捕邪飛にて果つるナイターつまらなし  ローリングス製を愛用す。 保革油に磨くグローブみどりの夜  本邦に於ける野球の普及と興隆は、競技時の中腰姿勢が、農耕の中腰姿勢と結び付いた結果ではなからうか。 田を植うる構へ打球を待つ構へ  折口信夫に拠ると、玉は魂のことであるらし。然らば、球も。 魂迎すなはち球を打撃せよ  仄聞する所に拠ると、ベースボールの起源は古代エジプトの祭儀に遡るといふ。 豊作を占ふ王の一打もて  変化球を見せやらんと気負ひ立つもさう上手

          ベースボール遠景II(十句) 木内縉太

          髙田祥聖の、かたむ句!⑦【金曜日記事】

          襖しめて空蝉を吹きくらすかな/飯島晴子 俳句甲子園も終わり、本記事をお読みいただいているかたの何人かは「夏休み、終わっちゃった……」症候群のひとであろうか。お疲れ様です。おれも「夏休み、終わっちゃった……」症候群のひとです。 一緒に飲みましょう。 わたしの住んでいる地域の学校は九月二日からが新学期。子どもたちは元気に秋を走り回り、未練なく夏の名残を抜け出していく。 夏休の句と言えば掲句を思い出すが、社会人になってからはなかなか長期休暇を取りにくくなり、夏休という季語は思

          髙田祥聖の、かたむ句!⑦【金曜日記事】

          吟ずる行考。【金曜日記事】

                            内野義悠  俳句の作句方法、鍛錬方法のひとつに「吟行」があります。  仕事や日々の雑事(そして種々の投句締切…)に追われて知らず知らず「書斎派」「机上派」になってしまいがちな俳人も、吟行すると煮詰まっていた作句回路がほどけてきて調子が戻ってきますし、単純に「写生」の良いトレーニングにもなります。中にはそもそも吟行にいかないと部屋では俳句が作れない!という俳人もけっこういます。  ということで、みなさんはそんな吟行はお好きでしょうか?ぼくは

          リブラ箱根夏合宿8/19‐20レポート

          リブラで箱根にいきました! 朝僕がめちゃくちゃ渋滞にはまって11時ぐらいに祥聖ぎゆうたくみと蘆ノ湖で合流。 とりあえずごはんをたべる。 箱根神社はさすがに大きくてよかった・・・。 歴史をしらべると九頭龍伝説とかは全部、万巻という僧侶が解決してた。ワンオペの箱根ということか。 次は船に乗って大涌谷に向かいます。 〈クイーン芦ノ湖や乗れちゃう海賊船〉 ロープウェイが突然高くなってびっくりした。 〈新台入荷や九頭龍チャンスCR〉は? 夜の句会にむけて俳句よまないといけな

          山本たくみの皆もすなるエッセイを(6) 【金曜日記事】

          西村麒麟主宰からは という評を頂きました。肝に銘じて時折句をいい声で囁いていますがあまり相手にされません。 今回はそんな「妻」についてを恥ずかしげもなく書こうと思います。 出会いと俳句の話出会いは社会人のアカペラサークルです。共通の趣味ですね。初デートは映画でした。『人間失格 太宰治と3人の女たち』二階堂ふみをはじめとする女性キャストのRが指定されるような大胆な姿に気まずくなったのを覚えています。そしてなんやかんやでお付き合いが始まります。すごくいい人なので私の趣味にも付

          山本たくみの皆もすなるエッセイを(6) 【金曜日記事】

          NHK俳句・補遺(十四句) 木内縉太

          NHK俳句に提出した文字にまつわる俳句20句のうち、番組およびテキストで紹介された6句を除く、14句を再構成した。 辞書ひきて綴る恋文天の川 振りて書くマーカーペンも星まつり 小鳥くる汝が名よく出て我が日記 阿礼誦し安万侶録す秋の蝶 秋燈や活版の字のほの凹み 日記閉づ帰路に火事をば見しこと書き 一の字に入りと止めや筆始 帆を満たす寶の一字宝船 見詰むれば文字崩れだす朧なり やどかりや砂上の文字の消えやすき 紙魚文字に太るにわれは言葉に痩す 薔薇の門猛犬

          髙田祥聖の、かたむ句!⑥【金曜日記事】

          ねえ、夢で、醤油借りたの俺ですか?/柳本々々 まずはお礼から。 7/23の俳句同人リブラによるラジオ「リブラジ」をお聞きくださったみなさま、またQ10企画にご参加くださったみなさま、ありがとうございました‼︎ リブラメンバー一同、心よりお礼申し上げます。 リブラジってなあに?というかたは、Xのリブラ公式アカウント(@tenbin819)から録音をお聴きいただけます。未聴のかたはぜひ‼︎ わたしって何だろ水が洩れている/加藤久子 リブラジの企画「Q10」は、 Q1.好き

          髙田祥聖の、かたむ句!⑥【金曜日記事】

          虚実のあはひ考。【金曜日記事】

                            内野義悠     句会などに参加していてよく耳にする言葉に、「これは実景ですか?」「こういうことは実際起こり得ますかね?」というようなものがあります。 時にはそこに拘るあまり、詩としての句の可否を議論するという本質から焦点が逸れつつ議論が紛糾してしまう事もあります。  確かに虚子さんが唱えたように、『客観写生』が俳句の基本として広く認識されている現状に於いてその「写生」の部分を忠実に実行する為には、やはり己の眼で対象を見て、さらにはその現場