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神去なあなあ日常/三浦しをん


今回は三浦しをんさんの「神去なあなあ日常」を読み終えた。いつも三浦さん(やその他の作家さんもだが)の博識さに驚かされる。

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読み始めたときは18歳の夢もやりたいこともない少年が夢を見つけるサクセスストーリーと思いきや、林業や昔からの言い伝え、現代では見過ごされがちな日本に伝わる神秘まで奥の深いストーリーで一気に読み上げた。

三浦しをんさんの作品に出てくる登場人物はとても人間らしさを感じる。人間らしさというよりは人間臭さの方が近いかな?読んでいると、あぁ!こういう人いるよねと共感したくなったり、自分も心の底ではこう思うことがあるなど人間臭さが共感できる。

ヨキのように元気な悪ガキでも愛されキャラや、山根さんのような頑固なおじさん。裕子さんは男性受け抜群そうだけど意外としたたかそうとか、みさきさんは素直だからこそ意地っ張りなのかななど。なんだかそれぞれの登場人物を、こんな感じの人なんだろうなって想像を膨らましてみたり。

なあなあの精神で穏やかな印象な一方、山根のおじさんと都会から来たよそ者の勇気の冷ややかな争い。長い事守ってきた伝統を大切にするからこそ、保守的になってしまう。変化しなくてはと頭ではわかっていても、外からの人が加わることで、今まで自分が守ってきたことの価値までも変化してしまうのではないか、と変化することに臆病な自分の心と山根さんの頑固な態度は自分と思い当たる節重なりドキリとした。

謝辞のところで、三浦さんが林業や三重県についてたくさん調べられたことが伺える。作中で事実と異なる部分があるのは。意図したものも意図せざる者も、言うまでもなく作者の責任による。と断言されているところもカッコよかった。

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