プロローグ@アデレード/南オーストラリア 各地から研究拠点命名の知らせが入ってくる。 USA:・・・US 中国:・・・China 日本:・・・Nihon ーーーーーーーーー そして ●●●:・・・ 思わず眼を閉じる。今は亡き曽祖父の声が蘇る。語っているのはファミリーの来し方。ファミリーの喜び悲しみ。ファミリーのこれから行くべき道筋だ。 ファミリーが母国を離れ異国に移住したあの時から・・・。 (2020/01/03)新春 #01 「所長にお目にかかることはできますか
(2020/01/11) (01:00) @名古屋・日本 所長の沈黙にも構わず、Nicholaは作品写真の下に掲示された〈Title〉〈訳文〉〈釈文〉に相当するものを読み上げ始めた。 【下記:書作品】 (2003年 1月15日〜19日) 第11回 連綿横書国際書展 出品作品 愛知芸術文化センターギャラリー J1/J2 作品サイズ:縦 60cm✕横 240cm(2尺✕8尺) (C)2003−2024 寺澤韶晃.All Rights Reserved.
『薔薇の牧場に舞う者は』をお読み頂いている皆様、長きに渡るご愛顧ありがとうございます。『神々は公平にして』【3】のアップを数日後に控え、改めて御礼申し上げます。 『神々は公平にして』【3】の投稿に伴い、この物語も新たなステージに入ります。主人公の名前・経歴等が明らかになると共に、彼らがいかなる想いで生きていくことになるのか、何を目指して生きていくのか、それが世界とどう関わっていくのかを明らかにしていきます。 それを読まれた皆さまが何かを感じ、考えるきっかけにして頂ければ
“ 狼たちも満腹。羊たちも無傷。” 上記写真:作品の一部 (2020/01/11) @名古屋・日本 「父親は?」 「何!?」 「父親のことは聞いているか?どんな顔をしていて背格好は?そもそも名前は?」 「知らん!興味もない!!」 「母親からは聞いていないか?」 「聞いていない。話そうとはしなかった。」 「その理由については?何も言っていなかったか?」 「何・も・き・い・て・な・い!同じことを言わせるな! いいか!モノは言ううちに聞け!!覚えろ!!!
“ 狼たちも満腹。羊たちも無傷。” (1999/02月) @ウラジヴォストーク 校舎を見上げた。 11年制一貫教育の学校。 卒業までここに居るつもりだったのだが・・・ 一ヶ月前、 「4月から別の学校にかわるから。」 急に言われた。 急と言えばあまりに急! 何の前触れもなかった。いつものように。 (2024/08/15) クルスク州@モスコスラヴィヤ 「第29強襲旅団ヘラクレス部隊にようこそ! よく来たな!!」 「遅くなりました。」ミハイ
“狼たちも満腹、羊たちも安全”(2020/01/11)(00:00) @名古屋・日本 コツッコツッコツッ 足音が聞こえる。 コツッコツッコツッ ゆっくりと近づいて来る。 弾かれるように席を立ち、ドアに向かう。 動くか!?・・・大丈夫だ! ドアから廊下に顔を出し言葉をかける。 「巡回お疲れさまです!もう少しの間いて帰りますのでご承知ください。 今はこのままにしておいてもらって大丈夫です!」 それだけ言ってドアをそそくさと閉めた。 机の端を握りなが
「そうですね。あなたの名刺には、名前の読み方と思しきものが振ってある。 Nicky Satow これがあなたの名前だ。」 「ニックネームです。 日本人でなくとも全く気になさらないことは判っていましたから。何の気兼ねもなく伺いました。」 「国籍・人種等は全く気になりませんね。 我が社中には様々な国の者が在籍しています。互いの国同士が友好国とは限りません。かつては戦争をしていた当事国、今も敵対国同士の者も大勢います。国籍・人種など気にしていたら一日だってもちませ
改めてレッスン者の名刺を見る。 “ 詩人 佐藤仁樹 Nicky Satow ” 妙だ。 さっき方筆の説明をし起筆を書かせてみた時は切れ味鋭い SQUARE になっていなかった。だが、今見る基本点画では「幾何図形」が書けている。起筆が綺麗でなかったのは? “演技” だったのか!?そうだとしたら何故そんな手の込んだことをする? 他の社中のまわし者なのか?それとも・・・ 「佐藤さん、書のご経験は無い、と仰言っていましたね。」 「はい、ありません。」 「いや、
『忍 魂』【2】 所長は早速点をひとつ打った。 「世間一般ではこれを、“素点”と言っていますが、『側』ともいいます。 この点を連続横に連ねて行けば横画になり、この点から縦に連ねれば縦画になる。 一方、この点から斜め↗↙にはねたものが、“はね”になる、と説明していますが、RUCAでは違う用語でお話しします。 この素点で示されるところは何か?それは『止揚』です。」 「『止揚』? 今日、その言葉を使われたのは2回目ですね。アウフハーベンのことですか?」 「その通り。 この点
『忍 魂』【1】(22:00) 「夜分に恐れ入ります」 それは突然の挨拶から始まった。 開けっ放しのドアからヒョイと顔をのぞかせにこやかに笑っている。 「いいえ、慣れております」 所長も立ち上がる。 中に入りドアを閉めようとする訪問者。 「いえいえ!ドアは閉めずにそのままで!」 「いつもそうなのですか?」 「そうです」 「何か理由でも?」 「用心のためです」 「どんな用心なのですか?」 とは尋ねてこない。所長もそれ以上触れない。 「どうぞこちらへ」 と、レッスン用の机
(2020/01/10)@名古屋/日本 新春#05 「頼みがある。」 「と、いうと?」 「これを」と、言って折り畳んだメモ用紙を取り出した。 片手で受け取る。畳んだ紙を開いてみると文字がビッシリと書き連ねてある。 「これは・・・詩?」 「そう、詩だ。上手くはない。が、中には発表してもいい、と思われるものもある。いいか、“発表してもいい”ものだ。上手い下手ではなく。」 「これをどうしろと?」 「作品にしてくれ。書体・型式は任せる。いつ、どこで発表するか、も含めて。 元々
現在、『薔薇の牧場で舞う者は』を月1回のペースでUP中。ライトノベルです。 この作品を読まれた方は、「何の話か訳が解らない」と思われるでしょう。 当然です。何しろ登場人物の名前すら判然としません。明らかになっている人物の名前は、“Baluchi”と“レナ”くらいですから。 実は2023年中にUPしてきたのはほんの序章・導入部でした。作品冒頭に「プロローグ」と題していますが、昨年末の009までが作品全体にとっての大きなプロローグだと言えます。 ですが、そのプロローグの
@アデレード・南オーストラリア 「どうだい?少しは満足できたかな?」 満足しているはずがない。そんなことは解り切っている。が、きいてみた。 「満足してはいないわ。」 ヤッパリ! 「してはいないけど······でも······そうね······。ほんの少し、朧げながら見えてきたものがある。」 本当に?!見せてきたのは幾つかのエピソード!それだけで見えるものがあるなんて! 「そうか。それは良かった。」と言った途端に反撃を食らった。 「何が良かった、よ。一番肝腎なものを出し
(2014/8月) @ガレー地区 長居し過ぎたか? そう思った時には既に遅かった。相棒が突然倒れ、咄嗟に地面に伏せる。 動いてはいけない。動いては・・・。動けば敵のスナイパーに感づかれる。 待つことだ!ひたすら動かず待つことだ。 自分達の帰投予定時刻はわかっている。粘っていれば、何時までも戻らぬ兵員を捜索するべく部隊は動く筈。 それまでは・・・待つしかない。 夜がすっかり明けて数時間。8月の中東だ!皮膚が焼ける。喉が渇く。だからといって水筒を持ち上げゴクゴク
(2023/10/07) @スカイリヤ (05:50) ケレム・シャローム検問所 ソーシャルメディア「テレグラム」の映像 複数の影が野良猫のように境界線の柵を次々と乗り越えた。柵内で可愛がられているペット達を捕食してやろう、とするかのように。 (06:25) キブツ・レイム近郊 空を見上げた。雲のない夜明けの澄んだ空。 夜通し踊り乾杯した。火照った体に空気が心地よい。生きている喜びを感じる瞬間だ。今日はこの国の暦で新年を祝う日。しかも土曜の安息日!3,00
(1973) @カブール/アフガニスタン 男が急に倒れた。 フラフラと歩いていやがる、と思ってはいたが案の定だ。周りの男たちが一斉に集まり口々に叫んでいる。 歩みを速めた。 「オイッ!済まないが俺に様子を見させてくれ。俺はすぐそこの大学に通っている学生だ。ちゃんとした医者を知っている。」 前を塞いでいた男たちが円陣を解くように脇にどいた。 「こいつは“ヒッピー”とあっちの国でいっている奴だ。」 ここ、アフガニスタンでも多くの人間は着ていない民族衣装らしきものを見に