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掌編小説 『炬燵が飼う』『「同じ月を見ている」』

#140字小説として、Twitterに投稿したもの二篇。



『炬燵が飼う』

友達の家に行くと、炬燵に知らないおじさんがいた。「この人炬燵から出られないの」と、友達。「ある日突然、炬燵が飼いだしたんだ」無理に引きずり出そうとすると、炬燵が噛みついてくるらしい。私たちはうとうととしているおじさんを無視してウノをやった。おじさんからは餌である蜜柑の香りがした。




『「同じ月を見ている」』

「同じ月を見ている」と偽りの安心を恋人たちに与えてきたことを月は反省する。使い古された台詞で一時の精神的結びつきを得ても、即物的な満足に負けることを月は知っている。ロマンティックな自分の存在を月は反省し、分裂する。無限に。あけすけの夜とあけすけの昼が始まる。月は互いに恋し合う。





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