【短編】定食屋の片隅にて
「『障害のある子供を置き去り』ねえ…」
君はニュース画面を見ながら呟いた。昼過ぎの定食屋は人影もまばらで、君の呟きは未だに中空を彷徨っている。
「…ひどいと思う?」
君は僕の問いに「わかんね」と答えた後、窓の外を見た。
「命って、平等なのかな」
「…どうなんだろう」
僕もつられて窓の外を見る。行き交う人たちは早足で、誰もこちらを見ることはない。
「俺さ、置き去りにしたことあるんだ」
え、と訊き返した僕を見ず、君は続ける。
「13年前、震災のとき。俺は、近所の元さんを置き去り