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書評集「Read, watch n sleep well.」

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本・映画・ドラマ・アニメのレビュー。書評中心に週2~3ペースで更新中
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#読書

残暑こそ本を読みたい。夏の終わりのサマーリーディングリスト

日本にも「読書の夏」を 台風が過ぎ、ようやく「残暑」と呼べるような日々がやってきた。 欧米には夏季休暇にビーチなどで本を読んだりする「サマーリーディング」の習慣があり、著名人が「夏に読む本リスト」を公開している(有名なのはオバマ元大統領)。 日本では秋に「読書週間」が存在するが、そろそろ「夏も本を読む」キャンペーンを大々的に打った方がいいように思う。「読書感想文のために読む」子どもたちだけではなく、大人にも。 理由として、日本の夏は暑すぎる。 2024年はそもそも外出す

病んでから、何年もずっと小説が読めなかった―ハン・ガン『菜食主義者』

ハン・ガンと私の病と ハン・ガンの作品の最高傑作、いや韓国の現代文学すべてにおける金字塔と名高い『菜食主義者』を読んだ。 しかし、私にとってこの作品は最高傑作以上の意味を持っていた。 というのも以前『ギリシャ語の時間』を読んだとき私は閉鎖病棟にいて、しかも措置入院中だった。拘束され一切身動きが取れない中数日を過ごした後、処置室から閉鎖病棟に移った私は、論文や『十二国記』全巻とともに『ギリシャ語の時間』を読んで、三か月にわたる入院期間を過ごした。 『菜食主義者』は、突如

今日の読書『にほんのうた 音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史』

私の実家は(私を除いて)とにもかくにもガチガチの音楽一家、というのは何度かnoteに書いたとおりです。 とくに母はたいへんなビートルズのファンで、今もポール・マッカートニーが来日するとなれば空港で出待ちするという(ガチ恋…)オタク精神を発揮しているのですが、そんな母が「若手の音楽批評で唯一信頼できる」と数年前から太鼓判を押していたのが「みのミュージック」でした。 そんなみのさんが出した「通史」がこの本です。 私は音楽専門ではないにせよ史学科の人間でしたので、「通史」にカテ

今日の読書『ボドイ:哀しき兵士』

ヘッダーはベトナム・ニンビンにある東アジア最大の仏教寺院・バイディン寺。ビエンチャン在住の友人が以前旅行で足を運んでいたが、とてもいいところだと聞いた。 ハノイからなかなか距離があるが、仏教好きとしては絶対に一度は行ってみたい。 「ボドイ」(bộ đội)とはベトナム語で兵士を意味する語だ。 しかし、日本で「ボドイ」と呼ばれる存在は基本的に軍属の人間のことではない。 かれらは技能実習制度などを利用して来日したものの、なんらかの理由で犯罪行為に手を染めるようになったベトナム

『ブータンの瘋狂聖 ドゥクパ・クンレー伝』―愛され続ける僧侶の官能と仏法の世界

ブータンの偉大な遊行僧に光を当てる 地元の本屋で見つけた掘り出し物の岩波文庫。 ブータンの「瘋狂聖」ドゥクパ・クンレーを、現地に伝わる逸話を通じて紹介する日本語圏ではほぼ唯一の一般書である。 ドゥクパ・クンレーは15~16世紀に活躍したチベット・ツァン地方出身の僧侶で、酒と女性を好んだ破天荒な生き方で知られている。 ブータンの古都・プナカにあるチミ・ラカン寺院は、もともとこの地にドゥクパ・クンレーがチョルテン(仏塔)を建てたと伝わる場所だ。この地で祈りをささげると子宝を

『休養学―あなたを疲れから救う』を読んで実際に休養してみた

『休養学』を読んで わたしは体質としてとにかく疲れやすい。 感覚過敏をはじめとする発達障害特有のストレス、メンタルのもろもろの不調などで、ふつうの人よりはあきらかに人生を「休養」に費やす必要があった。 SSRIや抗不安薬、睡眠薬にお世話にならないと長年「休養」という概念を体が感じ取ることすらできないほどの状態だったが、ちょうどこの本に書いてあるようなことを1年ほど実践することでかなり体調がよくなってきた(別の記事でも書くが今は断薬のフェーズに入っている)。 この本がほか

今日の読書『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』

先日友人と通話していた際に――なんの話をしていたかは完全に忘れてしまったが――ふいに福井県の話題が出た。 私自身は足を運んだことはない。 というか、名物らしい名物は、はっきり言って蟹しか知らない。 あまりに福井県についての情報に乏しく話題に窮した私は「福井県といえば『福井県鯖江市』じゃない?」とぽつりと呟き、discordに『福井県鯖江市』のリンクを貼った。 眼鏡、近松門左衛門、Vidro、幽霊話、クソくだらないお役所仕事、etcetc……。 書籍版が発売されて7年も経

読書好きな人に100の質問 後編

前編はこちら 52.読書記録のアプリやサイトを利用してる? Xの鍵アカに記録を残す程度ですね。選書そのものがある意味商売道具なので、秘密です。 53.図書館によく行く? 引っ越して遠くなったのであまり行かなくなりました。以前は毎週利用していました。 54.図書館をどう思う? 私自身裕福な家に生まれたわけではないので、重要なインフラです。無料で時間を潰せる公共空間には昔随分救われました。 55.ベッドで読書する? 「ベッドには三つの役割がある。ひとつは眠ること、ふたつめ

読書好きな人に100の質問 前編

読書好きな人に100の質問 1.年齢は? 他の記事でおおよそ想像はつくかと思いますが、非公開です。 2.性別は? 女性です。 3.読書歴は? 就寝前、親に絵本を読み聞かせてもらったのが最初のようです。一晩に25冊もせがむ子供で、寝かせるのにたいへん苦労したと聞いています。 4.初めて読んだ本を覚えてる? 『しろくまちゃんのほっとけーき』の記憶があります。グッズがあったら欲しいですね。 5.これまでに何冊くらい読んだ? 難しいですね。今まで食べたパンの枚数くらいでしょ

傷に寄り添って生きる:2023年初秋の読書記録

長らく更新をおやすみしていました。 引っ越しなどでバタバタしていて、ようやく最近ゲーミングパソコンを購入して執筆環境を整えることが可能になりました。 最近は今まで精神状態上読むのが難しかった本を読むのが楽しく、積読をひたすら崩す日々でした。読んだ本を紹介します。 歴史 1.小野寺 拓也,田野 大輔『検証 ナチスは良いこともしたのか?』 史学専攻の人間としては読まねばという一冊です。今年のSNSにおける歴史本の台風の眼ですね。 もともとナチに関しては多少読んではいたので