『休養学―あなたを疲れから救う』を読んで実際に休養してみた
『休養学』を読んで
わたしは体質としてとにかく疲れやすい。
感覚過敏をはじめとする発達障害特有のストレス、メンタルのもろもろの不調などで、ふつうの人よりはあきらかに人生を「休養」に費やす必要があった。
SSRIや抗不安薬、睡眠薬にお世話にならないと長年「休養」という概念を体が感じ取ることすらできないほどの状態だったが、ちょうどこの本に書いてあるようなことを1年ほど実践することでかなり体調がよくなってきた(別の記事でも書くが今は断薬のフェーズに入っている)。
この本がほかの「休み方」に関する本と一線を画すのは、睡眠などで「疲労=fatigue」をいったん取る行為を「守りの休養」とし、疲労の対義語である「活力=energy」を溜めるフェーズを「攻めの休養」と定義しているところである。
活力を回復させることで自分の中の充電量を100%近くまで持っていき、平日の体力・気力の消耗に備える。
体力の消耗を回復する「生理的休養」には睡眠・運動・栄養が必要不可欠。
そして気力の消耗を回復する「心理的休養」には、他人とのコミュニケーションや娯楽、クリエイティブな行為や気分転換が挙げられている。
もちろん休養において「いやなこと」をする必要はないのだが、これらの要素を複数かけ合わせることで効果は何倍にもなる。
というわけで、ここからは私がこの土日にとった「休養」をご紹介。
休養してみた
生理的休養:睡眠
22時~0時のあいだくらいに就寝。昼寝もたくさん。
先週から睡眠薬を減らしたが、ぐっすり。
生理的休養:運動
公園に足を運んだり、激しい坂道で有酸素運動をしたり。
「自然が豊か」を通り越して深山幽谷の趣があるのは気のせいだろうか……。
生理的休養:栄養
近くの直売所でお野菜とメロン、苺を買い込んでパーティを開催。とうもろこしとメロンがとても甘くておいしい。
心理的休養:コミュニケーションやスキンシップ
友人とお出かけ。動物と触れ合ってきた。
本書には「自然とのふれあいも親交タイプの休養に分類される」とあるが、せっかくなので野原でピクニックを楽しんでみたり。
心理的休養:娯楽
いつも通りテレビで野球観戦。なんと贔屓のカープが逆転勝利。気持ちいい。
心理的休養:クリエイティブな行為
おでかけ前の空き時間で記事を書いた。
何かしらやり遂げると気分がいい。
心理的休養:気分転換
以上の6つで気分転換としては十分すぎるくらいだが、日曜日は町田で喫茶店のはしごを楽しんだ。
未病のための休養
当然ながら、休養するには多少なりともエネルギーを消費する。身体・メンタルが不調なときにこれだけの予定をこなすのは不可能だ。
精神が張り詰めすぎていて動けない、というか「休もうにも休み方がわからない」……。
そういう時期には、『休養学』よりもむしろこういった本が参考になるはずだ。
いっぽう『休養学』の射程は「『疲労という未病』をわずらう状態の人」である。
私は「未病」という言葉を聞くたびに、昔住んでいた中越の方言「なんぎい」を思い起こす。
「なんぎい」は「だるい」「熱っぽい」「苦しい」「つらい」「しんどい」などがあわさった「漠然と体調が悪い」状態を指す語だ。「会社には行けるが体がだるい」程度のつらさから、「インフルエンザの症状で熱に浮かされていてしんどい」といった重症まで幅広く使える。
たとえば同居人が「なんぎい」と訴えてきたら「ポカリスエットやおかゆを準備しようか」と訊いたりするものだが、そういった自分自身の「なんぎさ」に耳をすませることで、「病院以前」のケアがより円滑に、そして効果的になされるのではないかという期待を抱くことができた。