【恋愛小説】これを愛と言うのか、忘れたいと思うのか(8)
男は、強く居なければいけないという価値観の中で育てられる。弱音をはくことは、恥ずかしいことだと教えられる。
男のステータスは、地位と金。
女とやった人数を競うような奴もいる。
純粋に愛する事だけに生きるなんて、男としてどうかしてる。
不倫もいわばステータス。「ばれないようにな」なんて、飲みの席で言うだろう。
そんな時代の中で生きてきた。
でも、ユキに出逢ってからことごとくその価値観は無意味だとわかった。
俺にできることは、ユキを幸せにすること。
なんの不安もなく、ただ甘えて抱きしめられることを躊躇なくできる相手がユキには必要だ。
それは、俺ではなくシンジなんだろう。
シンジにもう一度、会う約束をした。
また、同じ場所でシンジと会う。
「また何を言いに?」
俺の方を見ないで、つっけんどんな態度の割にはちゃんと約束の時間にくるんだから、ユキと俺との関係を気にしてるんだろうな。
「お前のことが好きなままのユキと一緒になろうと思ってる」
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