間も無く50歳になる、桜井貴哉。1人の女性の出会いから、心を無くしていた自分に気がつき、心を取り戻していく。愛するほど、憎悪も味わうことを初めて知る。切なく優しい愛のカタチ。
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【恋愛小説】これを愛と言うのか、忘れたいと思うのか(6)
怒りなのか悲しみなのか、よくわからない。
ユキの娘が来る予定も消え、部屋で酒を煽ったが、さっぱり酔えなかった。
祝日もあったから、数日頭を冷やす時間があったことが救いだ。
シンジは、ユキの心を今でも縛り付けている。安定した環境を捨てられず、子供が大切だっていうのは建前で、満たされない性欲と男として求められない寂しさを埋めたいだけにユキを利用した。
ユキもユキだ。もっと、毅然にしてれ
【恋愛小説】これを愛と言うのか、忘れたいと思うのか(5)
ユキの高校生の娘が、俺に会いたいと言ってきたらしい。ユキが俺のことを、ちゃんと話してくれてたんだなと思うと嬉しかった。
家に招待することになり、ラグが古びていたから新調したくてユキに買い物に付き合ってもらう。
一つひとつ2人で育てていかものが増えていく。
麻美との結婚生活は、何でも良かったから好きにさせていた。家まで建てたのに、内装も麻美の好きなようにして、口を出すこともなかった。
【恋愛小説】これを愛と言うのか、忘れたいと思うのか(4)
それから、3ヶ月。俺たちは、一緒にいる時間が増えていった。
俺の家に来ることも少なくない。一緒にお酒を飲んだり、2人でご飯を作ったり、寄り添いながらテレビを見たり。
でも、体の関係になることは、なんとなく避けていた。
SEXまではしていないけれど、手を繋いだり抱きしめたり…。
唇から伝わる柔らかい感覚とか。それだけで、とても満たされた気持ちになる。
世間でいう“普通”の価値観