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二度とない _ 詩

隠れる
言の葉の裏に、文字の間に、
隠れる
毛布の下に、夜の隙間に、
隠れる
前髪の後ろに、瞳の向こうに、
隠れる
心の底に、そのまた底に、

見ない見せない見られたくない見ようとしない
見えないものは見えない、だからわからない

隠れろ
大雪の魔法で覆って、あのぶ厚い黒い雲の上、
隠れろ
パンを焼いて蜂蜜をかけて珈琲を添えた食卓に、
隠れろ
教室の隅っこ、ノートに視線で釘を打ちつけ、
隠れろ
心の底に、そのまた底に、

出ない出さない出たくない出ようとしない
出れないものは出れない、だから見えない

みんな、愛を知ったふうに歌うんだ
みんな、愛があったふうに記すんだ
みんな、愛に会ったふうに詩うんだ
みんな、愛になったふうに笑うんだ
ボクは、愛がなんだか知らないんだ
ボクは、愛が何処かわからないんだ
ボクは、愛が誰かとか言えないんだ
ボクは、愛が愛だとかできないんだ

だから
落ちる堕ちる散る切る千切れる
だけど
生きて生きて来て来て見つけて

見つけて
傷だらけの肌の上、嘘だらけの声の裏、
見つけて
降り落ちる雪に舞うひとひらの桜、
見つけて
間違い探しの正解、間違い探しの間違い、
見つけて
心の底に、そのまた底に、

どうか
生きて生きて来て来て見つけて
今日も
生きて生きて生きて生きていて

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