黄身は遠吠えのレプリカ _ 詩
フライパンに落として、跳ねる滴の音を聞く
蓋に跳ね返るなら、この頭にも響くのかもね
黒いお皿に移して、それはまるで夜空の満月
僕の弱い所を鷲掴みにして離さないあの満月
言わば今は午前七時の食卓であり、寝ぼけ眼
布団に舞い戻るなら、あるいは、夜が恋しい
そうすれば僕は狼になれる、君を食べられる
柔肌に噛み付いて、夜空に向かって遠吠える
されど今は午前七時の食卓であり、朝ごはん
醤油をかけようがソースをかけようが色は黒
黄身は遠吠えのレプリカであり想いは届かず
君は野菜炒めのパプリカであり世界を変える
箸で潰して流れ出す心は色んなものと混ざり
綺麗な何かを失い、嘆いて、今日も生きるね
了