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手作りの三日月のソーダ _ 詩
空っぽになった胸を丸い瓶の代わりにして
炭酸水に、蜂蜜と、砂糖を大さじ四杯
ラズベリーに葡萄にオレンジ
星屑を少々、三日月は一つ
ゆっくり、静かに、そぉっと混ぜて
炭酸の泡も、この夜も、何処へも行かないように
確かに、角度によっては満月に見えるかもね
でも、三日月でないと意味がないんだ
一つの嘘と、多めの涙と、ほんの少しの強がりを
浮かび上がる時、底から掬ってくれるから
見たこともない太陽を深海魚が待ち望むかの様な
暗く冷たい冷蔵庫の淵
その扉が開いて、グラスに注がれる時
夜は、きっと驚くほど永く、二人だけのもの
了