でも悪い嘘ばかりでもない _ 詩

降り注ぐ愛のスコール扇子で弾けば嵐山
嘘も真も市松模様の襖に仕舞い
レトロ眼鏡の瞳の奥の奥山けふこえて
振袖で藍のファタール本気で踊れば渡月橋
あなただけが私を見てくれた
あなただけが私と居てくれた
雅千切れしソーシャルな網に嵌って銀閣寺
恋も正義も碁盤目模様の都で生まれ
スーツ姿の頭脳の深き深き夢見じ呑んだくれ
桜吹雪をマーシャルのアンプで飛ばして高瀬川
あなたを見てもいいのかな
あなたと居てもいいのかな
嘘吐きの果てのメトリック
嘘を解いてレトリック

掻剥り捨てる記憶をマルボロで燃やして南禅寺
酸いも甘いも折り鶴に込めて水面に浮かべても
エスパーなんて忍び忍ぶれど色に出でにけり
名推理も笑っておくれよボロボロだって二条城
いつだって君を思っているよ
いつだって君を想っていくよ
匿う野良猫昭和エレジー伏見の稲荷
金も身分も大したことじゃない
カステラの甘い香に香ににほひける
人形だって手鏡だってオルガンだって下鴨神社
心も言葉も見えないんだよ
心も言葉も見えないけれど
どうか愛を詩ってエレクトリック
愛を灯してレトリック

了