【読書】視覚的にも感情に訴えかけてくる読書体験をした:アルジャーノンに花束を
らむです。
少しずつnoteに慣れてきたところで、好きなことの1つである読書についても取り組んでいければと思います。今日は最近読んだ本、「アルジャーノンに花束を」について綴っていきます。
手に取ったきっかけ
最近、たまたま本屋で聞いたことのある本だと目につき、手に取ってみたのです。裏表紙に以下のように書かれていました。
物語の主人公、チャーリイは私と同い年であることを知りました。不思議なものでそういった特別な偶然を感じてしまい、その場で手に取り少しだけ立ち読みして、、、これはじっくり読む価値があると判断して購入をしました。
視覚的にも感情に訴えかけてくる読書体験をした
本当にこの本とは出会えて良かった。きっとこの先、また読み返すことがあるだろう、そう思える本でした。
本記事のタイトルにさせていただきましたが、この本からは不思議な体験をしました。
物語が進むにつれて主人公の知能が変化していきます。けえかほおこくから経過報告に変わり、ひらがなの幼稚で感情的な文字の羅列が、まるで学者、もしくは何かの専門家の知的で論理的な文章に変わっていき、そこからさらに変化していく様を追っていくことは、これまで読んできた本では決して得られない体験でした。
文字そのもので何かを強く表現する書道などに、感動することはあるかと思いますが、通常の読書において、文字をただ見て感動することはまずないかと思います。
読書は文字を見るのではなく、読んで、一つひとつの単語の意味、文脈を理解してはじめて感動するのだと私は認識しています。
しかし、「アルジャーノンに花束を」はページをめくるたびに、文字の変化を見るだけで、心が動かされてしまう、読むだけでなく、視覚的にも感情に訴えかけてくる読書体験ができる一冊だと私は感じました。
また、チャーリイが自分の同僚として働いていたら、兄弟だったら、息子だったら、私はどんな反応をするのだろうか。物語の中に出てくるそれぞれの登場人物のチャーリイに対する強い当たりや、酷い仕打ちをすることに心から抵抗を示しながら、読んでいる自分がいました。でも、じゃあ自分がチャーリイと直接関わる当事者だったらどうなのか。そんなことを考えさせられて、ページをめくるうちの幾らかは、何か気持ちの良い心地がしない、とてもモヤモヤさせられる時間もありました。
でも、それでもやっぱり読んで良かったと思うのです。
上記のセリフは最高点まで知能が向上したチャーリイのセリフです。この前後に展開される、恩師であり、愛するキニアン先生=アリスとの人間的な温かなやりとり。限りある時間の中で自分の意識、記憶を懸命に維持しながらも、やっておきたいこと、片付けなければいけないことなどに自分の全力を注いでいく。そんなチャーリイの姿に胸を打たれて、フィクションであるのにまるでリアルな追体験をした気持ちにさせられる、それだけ表現が巧みで引き込まれる本だったなと感じています。
ページ数は結構多いですが、思っているよりも、テンポよく読み進められる本だと思います。むしろ一度読むと、次の展開が気になって読み進めてしまいたくなるはずです。世代問わず、誰にも刺さる本だと思いますので、もしまだ読んだことがないのでしたら、手に取ってみることをおすすめします。