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学校に行かないという選択もある

このページにお越しくださり
ありがとうございます。
お母さんを笑顔にするお仕事の人
子育て専門助産師なとりです。

今回は近年よく耳にする「不登校」について
私が考えて過去に別のSNSに投稿した内容を
まとめ直してみたいと思います。

お母さんだけでなくお父さん
子育てに関わる方みなさんにお読みいただき
学校へ行けない子どもたちへの
理解を深める機会にしていただければと思います。


〈不登校は問題なのか?〉

「不登校」という言葉を最近よく耳にします。
昨年発表されたデータでは
不登校の小中学生は30万人近くいるとされています。

この調査では
年間に30日以上登校しなかった児童生徒を理由別に調査し
「不登校」は次の場合に計上されています。

何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、
児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者
(ただし、「病気」や「経済的理由」、「新型コロナウイルスの感染回避」による者を除く。)

文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説』より  

このような状況にある児童生徒を
「不登校」という枠に入れて
それを問題だと捉えているようなのですが
何が問題なのかは明記されていません。

いったい学校に行かないことの
何が問題なのでしょうか?

〈教育の義務と権利〉

日本には「教育基本法」という法律が
昭和22年に制定され
平成18年に全面改正されました。

この中の第五条に
親は「普通教育を受けさせる義務を負う」
とされていますが
国民の三大義務の一つでもあるわけです。

おそらく多くの親は
「子どもが学校に行く」のは当たり前で
「子どもを学校に行かせる」ことが
親としての務めだと思っているでしょう。

子どもが学校に行かなくなったら
この義務に反しているため
自分が制裁を受けるのではと
無意識に感じてしまうものです。

しかしここでいう義務とは
学校に行かせないといけない
ということではなく
親が子どもの教育の機会を奪ってはいけない
という解釈になりますので
心配する必要はありません。

むしろ学校に行かないことを
認めてあげていいのです。

この親の義務に対し
子どもには「教育を受ける権利」が
保障されています。

先ほど私は
学校に行かないことの何が問題なのか?
と疑問を投げかけました。

子どもには教育を受ける権利が
保障されているのに
選択肢が学校しかないという矛盾。

義務教育を受けさせること
子どもは学校に行くのが当たり前
と思い込んでしまっていたために
ほかの選択肢となる環境を整えることに
つい最近まで
私たち大人は気づいていなかったのです。

つまり
学校以外に選択できる学びの場や居場所が
十分に整えられていないのです。

大人である私たちの責任の問題なのに
目に見える現象を「不登校」と呼んで
あたかも子どもが学校に行かないことを
問題としているのだと私は思うのです。

〈登校拒否の同級生〉

私が小学3年生のときのクラスに
学校を休みがちな男の子がいました。

当時は土曜日も半日授業があり
週6日制でしたが
週に1日はお休みしていたと記憶しています。

この子が学校に来ない状況を
「登校拒否」と言っていました。

大人しい印象はありましたが
席が隣だったこともあり
一緒に絵をかいたり
テレビ番組の話をしたことを覚えています。

中学に入って2年生になったころから
学校に来るようになっていましたが
彼がなぜ休んでいたのかはわかりません。

風邪を引いたり、熱を出したり
頭が痛い、お腹が痛い
学校を休む理由はいくつもありますが
当時はお腹が痛いからと
担任の先生から聞いていました。

理由を疑うこともなく
治って学校に来てくれることを
私はいつも望んでいましたが
今思うと腹痛や登校拒否ではなく
ほかに学校に来れない理由が
あったのかもしれません。

学校に行けない子どもは
何十年も前からいたのに
環境を整えることには
注力されてこなかったのです。

〈学校に行けないを受け止める〉

不登校は誰にでも起こる可能性が
あることだと思います。

ある日突然学校に行けなくなるのです。
「休みたい」「行きたくない」


(お母さんの場合)

学校に行かない子どもを
恥ずかしいと思ったり
世間の目を気にして
無理に行かせようとしがちです。

どうして学校に行かないのかと
原因を探ってみたり
なんとか行かせようとして
『病気じゃないでしょ』
『学校行かないで将来どうするの』
という言葉をかけてしまいます。

子どもの不登校を夫に言えず
自分の母親に相談すると責められ
夫の母からは
子どもがかわいそうと言われてしまう。

お母さんだって傷ついているのに
誰にもわかってもらえず苦しいのです。

母親なのに
子どもの気持ちが分からない
どう対応していいか分からないと
自信をなくしてしまうのです。

子どもが学校に行けなくなったことを
私のせい?
育て方を間違えた?
と自分を責めてしまいますが
お母さんが悪いわけではありません。

子どもは親の気持ちを
敏感に感じ取っているので
お母さんが自分を責めれば
子どもは子ども自身を責めます
「こんな子どもでごめんね」と。

子どもは誰のために
学校へ行くのでしょうか。

お母さんの
学校に行ってほしい気持ちに
応えるために行くわけではありません。

学校に行くか行かないかよりも
大切なことがあるということですね。


(お父さんの場合)

どうして学校へ行かないのか
成績が悪いわけでもないし
いじめがあったわけでもないらしい 
やはり原因を突き止めようとします。

子どものことは妻に任せきりなのに
俺の子がそんな弱いはずがない
お前が甘やかすからだと妻を責めがちです。

とにかく学校に戻したい一心で
不登校なんて許さないという態度で
子どもを強引に導いて
解決しようと急いでしまいます。

休ませてみようと思っている妻は
あなたに相談したいのに
不登校に反対するあなたを
まず説得しなければなりません。

妻は子どものことで悩み
あなたとのことでも悩んでいます。

子どもは自分のことで
口論している両親を見て
自分が両親を苦しめていると
さらに心を痛めます。

学校に行きたいけれど行けない
言葉にできない気持ちや
言葉にすることの苦しさを
お父さんとお母さんに分かって欲しいのです。

〈学校へ行かなくてもいいんだよ〉

子どもはできるなら
学校に行きたいのです。
でも行けないから苦しいのです。

「行かない」のではなく「行けない」のです。
甘えや弱さではありません。

大切なのは学校へ行けるようにと
無理に理解をするのではなく
理解しようとし続けること。

学校に行けない事実を認めて
受け入れることで
「今」を幸せにすることができます。
そう、大切なのは「今」です。

「学校に行かなくてもいいよ」
「ここにいて大丈夫だよ」

学校へ行かないことへの不安は
子どもの将来を案じているから。
不安はこれから先のことであって
「今」ではないのです。

子どもは学校に行くのが普通とか
学校に行かないのはダメな人間と否定したり
学校に行けるようになることだけが
選択肢ではありません。

だから
学校に行けないということを
対子どもや夫婦間で争わないでください。

学校に行かなくても
できることはたくさんあるのです。

〈あとがき〉

親子関係のお話をうかがう中で
いつも思うのは
問題解決のために原因や解決策を探り
解決しようと奔走するお母さんが
とても多いことです。

たとえその子の親であっても
子どもを変えることはできません。

子どもと言えど立派な一人の人間です。
自分で問題を解決できる力を持っています。

親ができることと言えば
見守ること
子どもを信頼することだと思います。

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