二十四節気の養生法【2022 冬至】
一陽来復
12月22日から1月5日(小寒の前日)までの2週間が「冬至」です。
暦便覧には「日南の限りを行て、日の短きの至りなれば也 」とあります。
太陽が南回帰線上にあり、一年で一番日中が短い日ですね。「陰極まれば陽に転じる」のが天道(宇宙の法則)です。明けない夜はありません!
中国では、周代には新年のはじまりの日とされ、「冬至占い」といって、この日に無病息災を願って卦を立てて一年の運勢や行動の指針を天に乞うてきました。皆さんも「冬至占い」で検索してみてやり方を調べて是非やってみて下さい。結果も「易経 64卦」などで検索するといろいろ解説のサイトが出てきます。私はこの日毎年、「冬至の集い」という運勢学の講座に参加しています。来年はどのような年になるのでしょうね!?
今月の癒しの庭園 二条城
「二の丸庭園~本丸庭園~清流園」
今回の庭園は、ご存知世界遺産元離宮二条城の『二の丸庭園~本丸庭園~清流園』です。広大なお庭が三つもあります。
二条城は、419年前の1603年(慶長8年)に京都の守護と将軍の宿泊所として築城され1867年(慶応3年)15代将軍慶喜が大政奉還を表明するまでの264年もの間、徳川家とともに日本を見守ってきたお城です。さすがに京都に住んでると二条城は何度も来たことがありますが、来年の大河ドラマにちなんで改めて来てみました。残念ながらこの日は二の丸御殿は休館日で庭園のみの拝観でした。
二の丸御殿の正門にあたる唐門は、修復工事を終えて往時の豪華絢爛な姿に蘇っています。長寿を意味する「松竹梅に鶴」や聖域を守護する「唐獅子」、「龍虎」などの彫刻が飾られています。
京都所司代屋敷で火事などの緊急事態を知らせる時に使われた梵鐘。
1623年小堀遠州により改修された特別名勝「二の丸庭園」。居住のための御殿と庭を一体に鑑賞できる唯一の庭園だそうで、二の丸の大広間、黒書院、行幸御殿の三方向から観賞できるよう工夫されています。
寒い冬でも青々とした緑を絶やさない生命力を尊ばれた松、良く手入れされた松があらゆるところで堂々と聳えています。
かつては伏見城から移された五重の天守閣がありましたが、1750年の落雷で焼失したそうで、その後本丸は再建されませんでしたが本丸御殿の南側の本丸庭園は明治天皇行幸の際に枯山水庭園から芝生を敷き詰めた優美な庭園に改造され、四季折々の風情を感じさせています。
本丸から西橋を渡り北側に廻ると、豪商角倉了以の屋敷跡から譲り受け作庭された清流園があります。
まだ赤く色づいたもみじが少し残っていました。去りゆく秋の名残を惜しんでいます。
清流園にある茶室「香雲亭」と左は京都の「桜の開花」を告げる気象庁京都地方気象台の植物観測用標本木「ソメイヨシノ」。桜一輪どころか葉っぱさえも一枚も残っていませんが、冬蕾が寒い冬を耐えて春の開花を待っています。厳しい冬を耐えてこそ春に満開になって人々を感動させてくれます。
清流園にはそんな桜の木がいっぱいありますので、春はまた豪華絢爛でしょうね。
大政奉還後、皇室の別邸となったのでほとんど菊の御紋ばかりが目につきましたが、ようやく瓦の一部に三つ葉葵の御紋を見つけました。
何度も訪れたことがある二条城でしたが、改めてその広大さを感じました。外堀に面した堀川通や御池通は京都の南北と東西を結ぶ幹線道路で、普段から良く通っている道路ですが、その中にある内堀の大きさや広大な庭園が三つもあるのを見て改めてその大きさを実感。両側を椿に挟まれた通路や梅林、桜のトンネル、緑の園など本当に四季折々の風情を感じさせてくれます。御所と並んで京都の中央に座し、京都の長い歴史の栄枯盛衰を見守ってきたお城でとても感慨深いですね。来年の「どうする家康」も楽しみです。
【冬至の養生法】
中国では、陽が早く沈み一年で一番夜が長くなり、陰気が最も多くなるので「冬至の夜は鬼が出る」と言われ、子どもたちは暗くならないうちに家に帰るようにと言われるそうです。
また一陽来復を祝い家庭円満を願ってまんまるい「湯圓」と呼ぶ茹で団子やワンタンを食べると賢くなると言われるので、冬至には家族そろって団子やワンタンを食べる習慣があるそうです。また皆さんよく食べる餃子は、漢代の医聖「張仲景」という名医が、農民の耳が寒凝血瘀で凍傷になるのを防ぐために血の巡りの良くなる生薬を入れて作ったのがはじまりという逸話も残っています。寒い冬はアツアツの水餃子で温まり、残りは翌日焼き餃子で食べるそうです。
日本では冬至というと「冬至かぼちゃ」や「柚子風呂」がお決まりですね。
冬至の養生法は、「冬令進補、春天打虎」と言って、冬にきちんとカラダを補っておくと春になって虎をやっつけられるほど壮健になると言います。 冬至になると陰が極まり、徐々に陽気が生まれてくるので、この時期にカラダを補って、次の春に備えてカラダづくりをします。「補」と言っても何を補うか!? これは人それぞれ体質や症状によって違います。まずは今の自分はどんな体質になっているかを診て、その足らないものを補うことが大切です。体質診断については昨年の【2021 冬至】に掲載しているので、是非ご覧下さいね。
【2021 冬至】https://note.com/kyoyakuzen/n/n72ed48c54b1a?magazine_key=m01e8da0e49ae
前回【2022 大寒】で「アンチエイジング」にとって腎精を補うことが大切というお話をしました。冬の養生法は「補温腎陽」で、寒さから腎を守り、腎陽を補うことが厳しい冬を健やかに過ごすためにとても大切なことですね。
補温腎陽を行い腎精を補う養生法として、おへその下の気海や関元、腰のあたりにある腎兪や命門、足首の内側にある三陰交や太谿などのツボをマッサージしたり温めたりすると効果的ですということは、当マガジンでも過去に何度かお伝えしました。またいろいろなサイトや本などでも書かれており、中医学ではよく言われていることで、とても大切なことなのでぜひ実践してくださいね。お腹や腰を触ってみてヒンヤリ冷たいと言う人は要注意です。ぜひ温めて過ごしましょう。
オススメのツボは〇〇〇
今回はもう一つ、あまり聞き慣れないツボをご紹介します。
その名も「八髎穴」と言い、はちりょうけつと読みます。このツボを聞いたことある人や知ってる人はかなり漢方通ですね。知らないと言う人は、今回是非覚えて、暮らしの中で取り入れてくださいね。
八髎穴の場所は、仙骨という腰の下にある三角型の骨、尾骨のある骨に左右4つづつ穴が開いているのですが、その穴の上が上髎、次髎、中髎、下髎というツボで左右で8個になるので八髎穴と言われます。
昔から、生殖器系や泌尿器系、消化器系の諸症状から膝や太もも裏側(坐骨神経)の痛みやしびれなどの改善によく使われてきました。
ここには、解剖学で仙骨神経叢と呼ばれる神経の束があり、背骨を通る脊髄神経(中枢神経)から分かれて背中や腹部、鼠径部と下肢の大腿・膝・脹脛に繋がっている末梢神経が、この穴の内側や穴を通り抜けて下肢に繋がっています。
自律神経失調症と言われる副交感神経異常の諸症状(下痢や便秘、痔、小便不利、尿漏、生理不順、帯下、生理痛、ED、早漏、遺精など)から坐骨神経痛や脚のしびれなど下肢の運動神経障害など多くの症状の予防や改善にとても効果的なツボです。
わかりやすく言うと、骨盤内の気血の巡りを調え、女性には子宮、生殖器の働きを高め、毎月の生理に関する諸症状やホルモンバランスの乱れを改善したり、男性にとってのエネルギー不足や生殖機能障害などの改善など男女ともに妊活にも効果的なツボとされています。とにかく腎は成長・発育・生殖・老化と人間の生命活動の根源となる生命エネルギーである「精」を蓄えており、この腎の働きを活性化させてくれるツボなのです。
ほかに、泌尿器系(排尿)や消化器系(排便)、また膝や腰など下半身の運動機能の改善に効果的なツボです。特に寒湿邪が阻滞して腰からお尻、太ももの裏あたりのドーンとした痛みやダル痛さがある坐骨神経痛にとても有効です。坐骨神経痛やった人はこのなんとも言えない重だるい痛み!わかりますよね(泣)
また、「最近疲れやすいなぁ!」「昔のような活力がなくなったなぁ」と感じる方は、この八髎穴を心地良く刺激して気血の巡りを調えてみましょう!
自分でメンテナンスしよう
中医学の病院での治療では、推拿やカッピング、鍼灸、中葯(漢方薬)などで治療されますが、自分自身で行う養生法や改善法では、この八髎穴を心地良く刺激したり温めたり、このツボがある膀胱経や腎経をヨガやストレッチで伸ばしたりほぐしたり、また腎経に帰経する食べ物を中心に食べて腎気を補い気血の巡りを良くすることです。
おすすめはテニスボールを仙骨の下に置いてこの八髎穴を気持ち良い強さで刺激したり、仙骨全体にカイロを貼って八髎穴を温めます。
※薄い下着の上にカイロを貼ると低温火傷の恐れがありますので、腹巻などの上に貼ったり、小さいカイロを貼るなど気をつけてください。
また、この八髎穴は足太陽膀胱経という経絡の上にあります。そして膀胱経は足少陰腎経と陰陽表裏でつながっています。ヨガやストレッチで膀胱経や腎経をストレッチして伸ばしたり緊張を緩めたりして気血の巡りを整えます。暖かい部屋でゆったり呼吸をしながらリラックスして気血の巡りを感じます。気血の巡りが良くなってくると、腰や下半身がじんわり温まってきます。
ますます冷えが強まるので「補温腎陽」が根本
前回も書きましたが、『寒従脚起、病従口入』と言われるように、寒邪(冷え)は足から侵入します。スポーツ観戦や子どもと公園で遊ぶ時など、特に屋外で冷たい木やコンクリートの椅子などに座る場合は必ずお尻の下に座布団やタオルなどを敷いて、お尻を冷やさないよう気をつけましょう。
また重たい荷物を持ったり、子どもを長時間おんぶをするなど、腰に圧迫があるとこの神経も圧迫されてしびれや痛みなどが出ることがあります。
そんな時もこの「自分でメンテナンスする」方法がオススメです。私自身も旅先や年末年始など病院がお休み期間中などの急な発作に、よくこの方法で切り抜けました。出来れば発作など痛みが出る前に予防として普段から取り入れている方がオススメです。やはりなにごとも「未病先防」ですね。
外から帰ったら、あたたかいお風呂にゆっくり浸かって冷えたカラダを温めて気血の巡りを調えよう!この季節の養生法は基本的には「補温腎陽」になりますね。
京都伝統中医学研究所の"冬至におすすめの薬膳茶&薬膳食材"
1.「補温腎陽」の薬膳茶&食材
冬至におすすめ食べ物は、中医養生法の観点から見ると、特にツライ症状のない人は、五色(青・赤・黄・白・黒)と五味(酸・苦・甘・辛・鹹)を満遍なく食べることが大切です。寒さ対策には牛肉、羊肉、山羊肉、鴨肉、猪肉などカラダを温める肉類も重要です。さらにヤマイモ、サトイモ、大根などミネラルが豊富な根菜や大豆、卵、落花生、クルミ、エビ、魚など良質なたんぱく質も気血を補い抵抗力を高める働きがあるので、高齢者や子どもにもオススメです。間違ってもこの季節、氷や冷蔵庫で冷やしたものを冷たいまま食べるのは避けましょう。(ビールやハイボールなどもですよ!どうしてもお酒をという方は、ホットワインや焼酎お湯割りを”少々”にしましょう。)
腎陽を補い気血を巡らせるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「からだを温める黒のお茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「黒薔薇茶」、「気血巡茶」など
薬膳食材では、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「蓮の実」、「松の実」、「マイカイ花」、「桂花」、「茉莉花」、「紅花」など
薬膳鍋セット「薬膳火鍋紅白スープ&薬膳食材5種セット」、「手足冰凍鍋&薬膳食材3種セット」、「冬の美薬膳鍋&薬膳食材3種セット」、「四物鍋&薬膳食材3種セット」は、薬膳食材もセットになってオススメ。
腎を補い働きを高めるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「肝腎かなめ茶」、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「からだを温める黒のお茶」など 薬膳食材では、「黒きくらげ」、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「金針菜」、「紅花」、「マイカイ花」など
2.菫母鴨…?何と読むでしょう!?
中国語で「菫」とは姜のこと、つまり生姜のことです。台湾では冬になると「菫母鴨」(ジャンムヤ)という薬膳鍋が良く食べられますが、これは「アヒルの生姜鍋」で台湾でとても人気の薬膳鍋です。当店の「手足冰凍鍋」はこの菫母鴨を食べやすくアレンジし、さらに末端冷え症を改善する生薬スパイスをブレンドした薬膳鍋です。日本ではアヒルは手に入りにくい(手に入ったとしても食べ慣れていない)ので、鴨肉がオススメです。
手足にまで気血が巡り、冷え症改善に役立ちます。ぜひお試しください。
3.ヨモギたっぷりの漢方入浴剤
ヨモギがたっぷり入った「ほっこりポカポカあたため乃湯」もこの季節の養生にオススメ。ヨモギの香りが浴室いっぱいに広がり、香りに癒され芳香浴の効果も抜群です。ヨモギは艾葉(がいよう)と呼ばれる生薬で、昔から冷えを取る「婦人科の要薬」として女性の血の道証のさまざまな症状改善に使われてきました。
薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
薬膳茶&薬膳食材専門店 京都 楽楽堂
https://www.kyotorakurakudo.com (ただいま開店準備中)
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/
中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
次回は、1月6日「小寒」ですね。2023年が、皆さまにとってHappyな年になることをお祈りします。
くれぐれも養生して、平穏無事にお過ごしください!