さようなら 思い出のハンドミキサー
長年使っていた物を手放すのは、思い出のかけらも一緒に去っていくようで寂しい。
ハンドミキサーを処分した。
これは、社会人の娘が1歳だった頃、購入したものである。
先日、娘がケーキを作るために材料を混ぜていると、突然、クルクル回転する部分の片方の棒が、折れてしまった。ポッキリと。
こうなれば、もう修理は不可能。20年以上も使ってきたから、さすがにもう、寿命だったということなんだろう。
このハンドミキサーは、もっぱらお菓子作り専用。ホイップクリームでも何でも、あっという間にできるから強力な助っ人だ。
決してうまくはないけれど、私は昔からお菓子を作るのが好きだった。パウンドケーキやデコレーションケーキ、シュークリームなど失敗しまくりながらも、楽しく作っていた。
娘が生まれたとき、誕生日にはバースデーケーキ作りに挑戦してみようと決心。形は不格好でも、白いホイップクリームを塗ったケーキに、フルーツをトッピング。年齢の数だけろうそくを立てたケーキに、娘は大喜びだった。
そうこうするうちに息子も生まれ、結局、息子が中学を卒業するまでバースデーケーキ作りは恒例となり、わが家の食卓へ。
そのたびに、このハンドミキサーは大活躍した。軽快な音を響かせて。
子どもたちの成長を喜んでくれていたかのように。
そして、娘が高校生になってからは、自分で自分のケーキを作り始めた。私の物とは比べ物にならないほど、斬新なデザインのものだった。これで味をしめた娘は、家族の分のみならず、バレンタインやら○○祝いやらと、ことあるごとにスイーツ作り。
ほどなくして娘は、わが家のパティシエールとなり、私は事実上の引退となった。このパティシエールの良き相棒・右腕となって支えてくれたハンドミキサー。
親子2代の歴史を見つめたハンドミキサーよ、今まで本当にありがとう!
そして、お疲れ様!
何だか感慨無量だ。
私は、心の中でありがとうと言いつつ、階下のゴミ集積場に持って降りた。
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