【ヒーロー小説】ブロイラーマン

🐓🐓🐓ヒーロー小説『ブロイラーマン』のnoteです🐓🐓🐓  作者:小膳(こぜん)&小膳兄  Twitter:@kutokozen ご連絡:kutokozen☆gmail.com(←☆を@にして下さい)

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【ヒーロー小説】ブロイラーマン 総合もくじ

お知らせ07/29 完結しました! 『ブロイラーマン』とは?1分でわかる!『ブロイラーマン』 (最初に来た人はまずはこちらへ) ブロイラーマン本編(2021/07/29更新)0.ブロイラーマン 巨大工業都市、天外は血族と呼ばれる怪物たちが人知れず悪行を働いている。しかし血族でありながら悪の血族を狩る者がいた。その名は―― 1.血を授かるとき 男子高校生、石音日与は血族になってしまった。ニワトリ頭のヒーローとなった日与の戦いが始まる。 2.一匹の家畜 日与の前に新たな血

    • ブロイラーマンのあとがき

       小膳です。  何か続きがありそうな終わり方をしていますが、ブロイラーマンはこれで終わりです。打ち切りみたいな終わり方になっちゃったのは単に私の力不足です。ごめんなさい!  ブロイラーマンはもともとニンジャスレイヤーの同人誌として書いていたものでした(ニンジャスレイヤーを知らない人はぐぐってみてください)。  昼は負け組のOL、夜は悪人(というか主人公が独断と偏見で悪人と勝手に決め付けた人)を殺しまくっているイカれた女ニンジャが主人公でした。  それがあるとき男娼の少年を

      • エピローグ

        1/1 天外市。ある日の昼下がり。  日与は明来と一緒に自宅アパートを出た。新しく借りた家だ。今日もよく晴れていて、少し暑いくらいだった。  大きなダッフルバッグを担いだ日与は頭を掻いた。 「驚いただろ? 俺が人間じゃなくなったって知ったときは」  明来は真顔で答えた。 「いいや。お前が女連れて来たときほどじゃねえ」 「何だよそりゃ?」  兄弟は笑い合い、握手して抱き合った。  明来は言った。 「お前はお前さ、日与」 「またな。勉強がんばれよ」  二人は

        • 鳳上赫(6/6)

          <1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 6/6 エヴァーフレイムは自分の胸を見た。新たに得た血氣で傷は塞がっている。だが何かがおかしかった。血氣が体に満ちない。吸収し切れず漏れ出てしまっている。  ブロイラーマンはうつ伏せに倒れたまま、手の中にある赤黒いものをエヴァーフレイムに見せつけた。それはエヴァーフレイムの心臓だ。血の源だ。残留血氣でまだ動いている。  エヴァーフレイムは自分の左胸をさすった。対物《アンチマテリアル》パンチを受けたときに抉り出されたのだ

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        • ブロイラーマン本編
          109本
        • ブロイラーマン(短編)
          51本
        • ブロイラーマンその他
          4本
        • コラム
          18本
        • 漫画・小説・小説短評
          11本

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          鳳上赫(5/6)

          <1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 5/6「ぐおお!?」  勝機! ブロイラーマンが相手をラッシュに飲み込もうとしたとき、エヴァーフレイムは剣を消した手を彼に向けた。血氣が集中し、バレーボール大の血氣弾を放つ。 (しまった!?)  ドォン!  血氣弾が爆発し、ブロイラーマンは木の葉のように吹っ飛んだ。灰の中を転がり、球体の斜面で止まる。  その胴体に向かってエヴァーフレイムが逆の手で放った血氣の剣が飛んできた。  ドッ!  ブロイラーマンは自分の胴

          鳳上赫(4/6)

          <1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 4/6* * *  稲日ははっと顔を上げた。  ベッドに腰かけ、ベースを抱いていた。あたりには自分で書いた楽譜や歌詞のメモが散乱している。  ベースの表面にはラミネート加工された花びらが貼られている。日与からもらった花束の一部を残しておきたくて、楽器屋に無理を言って頼んだ。稲日はそれを指で撫でた。  今、日与はどこで何をしているのだろう。誰と戦っているのだろう。今も炎の血を流しているのだろうか。 * * *  

          鳳上赫(3/6)

          <1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 3/6* * *  殴られ放題だったエヴァーフレイムが不意に手を持ち上げた。  撫でるようにそっとした手つきだ。その瞬間、ブロイラーマンは背筋が凍りつくような戦慄を感じ、その場から飛び退いて離れた。  エヴァーフレイムの掌がカッと赤い光を放った。その指先が触れたブロイラーマンのネクタイ先端が、白い灰になってぼろぼろと崩れた。瞬間的に掌に血氣を集め、超高温を作り出して焼却したのだ。恐るべき血氣の集中力!  エヴァーフ

          鳳上赫(2/6)

          <1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 2/6 街角でアンデッドワーカーが見張っていたが、血族三人の敵ではない。  軽く蹴散らし、高層ビルまでやってきた。町が廃墟化した後に作られたものらしく、真新しい建物だ。太陽が放つ熱波めいて強大な血氣を感じる。この上に鳳上がいるのだ。  三人はホールに入った。雑務用のアンデッドワーカーはいたが、警備はおらず素通りだった。普通ならここにたどり着く前に古参たちに殺されているからだろう。  エレベーターで最上階に向かった。こ

          鳳上赫(1/6)

          <1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 1/6 黄泉峠、比良坂市街地跡。 「ブロ!」  バス停のベンチで待っていたブロイラーマンは、リップショットの声に立ち上がった。 「リップ」  樹海に没した道路の中からリップショットと竜骨が現れた。どちらもボロボロだ。リップショットは口元のマスクに指を引っかけて下ろし、素顔を見せた。 「良かった! 無事だったんだね」 「ああ。スケープゴートは殺した」 「こっちもヒッチコックをやっつけたよ」  二人は笑い合い、

          ヒッチコック(4/4)

          <1/4 2/4 3/4 4/4> 4/4「ぐおおおお!」  押されながらもヒッチコックは必殺の水平斬りチョップを放つ。  竜骨はそれをかわして相手の腕を掴み、地面へと引き倒した。すかさずそのみぞおちに右腕で瓦割りパンチを入れた。  ドゴォ! 「「セエエエエエエエエアアアアアア!」」  ドゴドゴドゴドゴ!  さらにパンチを連打!  白骨の右腕が刃に変形する。二人はその切っ先をヒッチコックの喉下に突き入れた。  ドスッ!  ヒッチコックは目を見開いた。全身を痙攣

          ヒッチコック(3/4)

          <1/4 2/4 3/4 4/4> 3/4「大丈夫?」  竜骨の気遣わしげな眼に、リップショットは無理に微笑んだ。 「平気。だけど……」  ヒッチコックと自分たちでは年季が違う。岩壁を爪で掻いて崩そうとしているような絶望感だった。  勝てない――その言葉が脳裏をよぎりかけて、リップショットは首を振った。ブロイラーマンの信頼を裏切るわけにはいかない! 仲間のためにも、市《まち》のためにも、待っているすべての人たちのためにも!  リップショットは自分もカルシウム錠剤を

          ヒッチコック(2/4)

          <1/4 2/4 3/4 4/4> 2/4 ヒッチコックは身構えた。だがリップショットが砲口を向けたのは空中だった。  引き金を引く!  ドォォォン!  すさまじい反動にリップショットの体は数センチ後ろに滑った。  五百ミリリットルのペットボトルほどもある砲弾は発射と同時に散弾を数千発バラまいた。そのすべてがリップショット自ら聖骨の盾を施した対血氣仕様だ。  ビシビシビシビシ!  散弾が小鳥たちを撃ち落とし、群れの真ん中に穴が開いた。  小鳥たちが向きを変え、リッ

          ヒッチコック(1/4)

          <1/4 2/4 3/4 4/4> 1/4 銃を持つ男の手に幼い少女がしがみついた。 「殺しちゃダメ!」  満身創痍の男は少女を見下ろした。少女は男を見上げた。  男の銃口は目の前にいる、背広姿の老人に向けられている。老人は恐怖に目を見開いていた。  とある地下施設にある、巨大な金庫室の前。金庫室の扉は開かれており、中には大量の金塊が見える。  老人の部下のヤクザは死体となってあちこちに転がっていた。男が殺したのだ。老人は泡を吹いて喚いた。 「朧《おぼろ》、き、

          スケープゴート(4/4)

          <1/4 2/4 3/4 4/4> 4/4* * *  疵女は眼を覚ました。  時間は深夜、廃墟の村の広場。少年少女の姿はなく、信者の死体だけがその場に残されている。 「ブロイラーマン?」  彼を呼んだが、その姿はなかった。 「永久さん?」  通信機も繋がらない。彼女は首を傾げた。あれからどのくらい時間が経ったのか、なぜ自分がまだ生きているのか、何もわからない。  頭の潰れたスケープゴートの死体を見た。仇が死んだ以上、もう反血盟議会陣営に力を貸す理由はなかった

          スケープゴート(3/4)

          <1/4 2/4 3/4 4/4> 3/4 スケープゴートに致命傷を与えるごとに信者の体が弾ける。ひざまずいてスケープゴートに祈りを捧げていた信者の何人かは恐れをなし、腰を浮かせた。 「ああ……!」  別の信者が手斧や草刈鎌を掲げて威圧する。 「恐れるでない! スケープゴート様が我らの罪を請け負って下さるのだぞ!」  ドゴォ!  また別の信者の顔面が潰れ、死んだ。  少年少女に限っては疵女がそのダメージを肩代わりし、命を助けた。 「異教徒ォ!」  大人の信者が

          スケープゴート(2/4)

          <1/4 2/4 3/4 4/4> 2/4 徐々にスケープゴートの攻撃がブロイラーマンを捕らえ始めた。純粋な戦闘能力ではほかの古参に劣るスケープゴートとは言え、ブロイラーマンは三連戦であり、こちらからは手が出せない。  ボクシングの試合なら戦意喪失で敗退するところだ。だがブロイラーマンはスケープゴートを攻撃しない。攻撃できない。  スケープゴートは眉根を寄せた。 「闇撫の魔女は肉体の限界と苦痛に詳しいんですのよ。あなたはまだ限界ではありませんわね。なぜ本気を出さないん