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私の推薦図書5選 vol.6

「カバーをおかけしますか?」

チェーンの書店ではだいたい言われるこのセリフ。
私は必ず断ります。なぜかって?

公共の場で、「私は今この本を読んでいる」ということを人に見てもらいたいからです。例えば電車では、嫌味なくらい姿勢を正して背表紙とタイトルが敢えて周囲に見えるようにして読みます。

単なる自己顕示欲なんかじゃありません。
そんな私の姿を見て、本のタイトルに興味を持つ人を一人でも増やしたいのです。

そういう風にしか伝えられない愛って、あるよね?

さて今日も、始めましょう。


ことわざ絵本  五味 太郎

幼少期に散々お世話になった五味太郎さま。
私は子供ながらに「あからさまに子供向け」の本が好きではなかったので、彼の描く皮肉たっぷりな世界観はとても好きでした。『正しい暮らし方読本』も大好きだったなあ。
この本は、右ページにことわざ、左ページにそのことわざを自由に解釈した五味さんの創作ことわざが載っています。リアルで毒のある解釈に思わずニヤけてしまうでしょう。そして気づいたらことわざを覚えちゃってるんだから、お子様の教育にもぴったりですね。


マンガのあなた SFのわたし 萩尾望都・対談集 1970年代編

萩尾望都リアル世代として生まれなかったのは、幸か不幸か。
もし私が『ポーの一族』連載中に学生だったとしたら、、、なんて考えることがあります。どうなっちゃってたんだろう。
社会人になってから一番始めに『半神』を読んで、もはや物の怪の類ではないかと感じました。完璧でした
全く世代ではないのに彼女について深く知ることができるのは、彼女の作品を愛しその才能や技法を継承しようとする多くの先人たちがいるからです。よしながふみの思惑通り、私は萩尾望都に辿りつきました。
この対談集は今のところ第4シリーズまで既刊のようですが、萩尾先生が天才すぎるので対談相手の方々もすこぶる豪華です。天才同士の対話を覗けるなんて、贅沢すぎると思いません?


もの食う人びと  辺見 庸

辺見庸さんは、大学時代によく読んでいた作家です。
世界の人々が何を食べているのか、どれだけ食べれていないのか。飽食の日本を飛び出し、自分で彼らと同じものを食べるというルポタージュ。
辺見さんの好きなところは、細部を徹底的に描くこと。そして、怒りが原動力になっていること。自分だけが満たされたとしても満足しない。常に俯瞰的視野で何かに対して怒っている人です。


自分の仕事をつくる 西村 佳哲

去年就活生に勧めるために久々に読み直しました。
働き方研究家と名乗る著者が様々な仕事と働き方をインタビューしていく本です。クリエイティブ職に寄っているけど、良い仕事の裏には良い思想があるのだとわかります。
こんなもんでいいやという気持ちで作ると、「こんなもんでいいや」という感覚を人々に伝えてしまう。このフレーズが長年自分に残っています。
自分を大切にする仕事は他人にとっても大切な仕事になるのだと信じたいですね。


新装版 わたしが・棄てた・女   遠藤 周作

人間の醜さとか脆さとか、こうも包み隠さず描かれるとぐうの音も出ません。こういう本を読んでしまうと、「いやだ、バレてる」と感じます。



長年好きな本について書くのがやりやすいので、つい昔の本ばかりになってしまいますね。次回から新刊も織り交ぜていきましょう。


〜本日のBGM〜
さわやか会社員 / 相対性理論
なぜか再燃しています。永井さんのギター好き!


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