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くるまさんは楽しみたい『漫才過剰考察』(辰巳出版)読書感想文

令和ロマン・髙比良くるまさんの書籍を読みましたので、その感想を書きます。

どんな本?

漫才師、髙比良くるまさんによって書かれた、考察・分析本。

先日、M-1グランプリ2連覇を達成した彼が、何を考え、どんな風に他の人たちを見ているか、ちょっと知ることができる本。

今回の感想は、書籍の要約とかではなく、彼の考察を読んだ僕の感想という形を取りたいと思います。

考えたこと

事前の情報では、戦略的にM-1を攻略した人というイメージだったけど、イメージが変わった。この人はいろんなことを楽しみたいんだと思った。

ここ数年のM-1の分析、寄席でウケるにはどうしたらいいかの考察、お笑いは東西だけでなく、南北もあるのではないかという仮説、霜降り明星粗品さんとの対談など

面白いものを作る人の頭の中はどうなっているのか、ちょっと知ることができた。

自分の話

今年は趣味で小説を書くことに挑戦して、とりあえずいったん完成させて寝かせてある。

もちろん書くのは初めてなので、まずはいろんな書籍を参考にした。

物語の展開づくり、魅力的なキャラの作り方、面白い会話、そういったものを勉強して、いったん書き上げた。

自分なりに面白いものができたと思う一方で、まだまだ改善の余地がある。それを痛感した。

すると、その後のものの見方が変わった。

以前より、小説、漫画、映画などを観るのが面白くなった。

ストーリー展開、会話のうまさ、想定外の要素など、もっと味わえるようになった。

素人の僕でもそうなのだから、くるまさんはもっと楽しいだろう。

コンテンツを作り、他を分析して、またコンテンツを作る。

彼はそれを楽しんでいる。

人は過剰にストーリーを求める

これはこの3年くらい、特に感じている。

ミルクボーイさんが勝った後、遅咲きの錦鯉さんが優勝して審査員が涙していたり、上沼さんにボロクソに言われたマヂカルラブリーさんが数年後、それを乗り越えたり、

「こんな窮屈な時代に悪口で風穴を開けた」がウエストランドさんの追い風になった、ように感じる。

今回は令和ロマンさんがトップバッターで実力を見せ、「果たして本当に連覇をしてしまうのか?」が描かれた。

バッテリィズさんがウケたことで、「頭を使う漫才が多い中、愛すべきアホが現れた。高学歴の令和ロマンさんに勝つか?」にストーリーが書き換わり、それに熱狂した人も多かったように思う。

もはやストーリーの力は無視できないし、ひとりの人間としては、そこと強かに付き合っていくしかないようにも感じる。

漫才を提供する人たちも、若干やりにくさを感じるのではないか。

分析、仮説、試行錯誤

くるまさんは決してスマートな人ではない。
どちらかというと、試行錯誤の人だ。彼は失敗をしながら学んでいる。もちろん、強かさもあるけれど。

お笑いには東西だけでなく、南北もあるのではないか。

南の博多華丸大吉さんは、宴会で面白いおじさんがボケまくり、もう一人が嗜める。

北のサンドウィッチマンさんは「興奮する、間違いない」と言って、ふたりでふざける姿を客が眺める。

そのような分析や仮説が正しいかはあまり重要ではなくて。

いったん白紙に下書きを描き、その上でやってみて、失敗をすることが大事だと思う。

お笑いのパターンは出尽くしたわけではなく、まだまだブレンドによって変わるし、流れが変われば最善の一手も変わる。

この辺りも、くるまさんの楽しむ姿勢が伝わってくる。

おわりに

最近は面白いコンテンツが溢れていて、僕たちは流れてくるいろんなものに、絶えずツッコミを入れることができるようになった。

そんな中で、腕組みをして芸人さんたちをジャッジする人もいる。

近年の推し文化の中で、芸人さんのファンとして楽しむ人もいる。

楽しみ方は様々、そんな中で、より楽しむにはどうしたらいいか。

くるまさんの本は、作り手の頭の中をちょっと覗き見ることができる一冊。

それをどう活かすかは、読者に委ねられている感じがしました!

くるまさん、M-1お疲れ様でした。

読んでいただき、ありがとうございました。

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