歩いていくことにした 2
T山荘 1995年
私は真っ暗な食堂で頭にヘッドライトをつけて手紙を書いていた。
私の正面には滝ちゃんという同い年の女性が同じくライトの明かりを頼りに手紙を書いていたが、何か上の空でペンを走らせているようであった。
滝ちゃんは私が手紙を書き終えるのを待っていた。
私もそれを感じ取っていた。
真っ暗な食堂で、ヘッドライトの薄明りの中で滝ちゃんはボールペンを鼻と上唇の間に挟んだりしながら挑発的な目で私を見ていた。
私は山梨に住む恋人の愛
に手紙を書きながら、滝ちゃんの視線に興奮