『体験格差』を読んでみて。
久しぶりに読んだ本の紹介をしていこうかなと思います。
今井悠介著『体験格差』という本です。
タイトルが気になり買ってみました。
というのも、クラスで授業をしてペアやグループで話合わせると、アイデアが出る子と出ない子で結構な差があるな、、と思っていたからです。
個々人のコミュニケーション能力に加えて、体験しているかどうかの差が出ているのかな、、?と思ったため、読んでみました。
第1部は全体的な傾向を統計から読み取れたこと、
第2部は取材を通して分かった具体的なケース、
第3部は格差を縮めるために必要な対策が書かれておりました。
親の所得の差がこんなに子どもの体験活動に影響してくるのか、、と愕然としました。。。
特に涙ながらに「サッカーがしたいです、、」と言ってくる子どものエピソードは印象的でした。
この本では触れられていませんでしたが、大学入試も体験を通して学んだことが合否に関わってくる時代になったなと個人的に感じています。
総合型選抜入試や推薦入試の存在が増えてきているからです。
一部の大学では後期入試復活の兆しがあるため、一概には言えませんが、時代の流れとしてはペーパー試験一辺倒の時代から、
思考力や表現力を見る面接、小論文、プレゼン発表の試験の時代へ変わってきています。
その入試で合格するためには「体験」が欠かせません。
その「体験」にはお金や時間がかかります。
もちろん無料のものも多数ありますが、それを「参加してみたい」と思うような感性が必要です。
その感性はある程度生活に余裕がないと育たない、とマズローの欲求階層説的には考えます。
私は今の生徒の様子を見ていると、高校生の時は好奇心がわりとある方だったのかなと思いますが、
小さい頃にキャンプや釣り、登山、博物館や美術館など色んなところに連れて行ってもらっていました。
これも親がある程度余裕のある仕事についていないと実現できなかったし、
両親がどちらとも健在で、定職に就けていたから出来たことだと言えます。
体験格差に対して高校教員としてできることは何か。
考えたことをいくつか挙げます。
普段の何気ない教育活動の中にもできることはたくさんあると気づきました。
「いろんな背景がある生徒が目の前にいることを頭に置いて、教壇に立ちたい。」
そう思った一冊でした。